郷土への誇り、町民劇で培う 築上町で3日公演 9-78歳が出演 「古里の歴史伝えたい」 [福岡県]

町民劇を指導する旧築城町助役の隅田知明さん(右)
町民劇を指導する旧築城町助役の隅田知明さん(右)
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練習に励む出演者たち
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大ホールの外で、盆踊りを練習する宇留津自治会のメンバー
大ホールの外で、盆踊りを練習する宇留津自治会のメンバー
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 郷土の歴史を学び、住民に誇りと愛着を持ってもらおうという劇団が築上町にある。名称はそのものずばり「築上町民劇」。2年ぶりとなる3日の公演に向け、約40人の出演者らは追い込みの練習に励む。

 「もっと力強く」「かがみすぎ」-。監督を務める隅田知明さん(78)の厳しい声が飛ぶ。会場となる同町椎田の町文化会館「コマーレ」大ホール。舞台には本番さながらのセットが並んでいた。ナレーションや音楽が響く中、城主や城代、農民など出演者は真剣な表情でそれぞれの役を演じる。ただ、仕事で参加できない人も少なくない。欠席者の代わりにせりふを読む人がいて、物語が進んだ。

 町民劇は2001年、旧築城町の助役だった隅田さんらの呼び掛けで発足。旧椎田町と合併後、現在の名称になった。これまで豊前宇都宮(城井)一族の悲劇を描いた「城井谷の落日~宇都宮鎮房物語」や、飢えに苦しんだ農民を救うため、年貢の軽減策を無断で行った責任をとり自害した小倉藩築城郡筋奉行、延塚卯右衛門(のぶつかうえもん)をテーマにした作品などを上演してきた。

 今回は、8作目となる「宇留津城(うるづじょう)哀史 城主加来与二郎の決断」を初めて披露する。あらすじは次の通りだ。1586(天正14)年、豊臣秀吉が島津攻めで九州入りし、黒田軍が大軍で宇留津城を攻める。宇留津軍は籠城(ろうじょう)戦を試みるが、城主加来与二郎が家臣や領民を守るため自害する内容。

 今回の出演者は9~78歳までの約40人。昨年9月から練習を始め、1月からは週2回、2月27日からは毎日2時間以上に及ぶ。

 地元には、宇留津城址(じょうし)之碑や加来与二郎墓碑などがあるが、その歴史を知らない人も多い。加来の四天王の1人、奥田次郎太を演じる町職員、井本巧さん(25)は「当時の人たちの思いを込め演じたい」。祖母と出演する若君役の江本裕童君(9)=椎田小3年=は「多くの友達が見に来てくれるので、古里の歴史を伝えたい」と話す。

 隅田さんは「当時の武士道には学ぶところがある。歴史に光を当て、今を見つめ直す契機にしてほしい」と強調。さらに「古里の歴史を学び、町に誇りを持つ人がいないと、町は輝かない」と訴え、劇を通じて活力ある地域づくりが進むことを願う。

 公演は、午後1時半と同6時半の2回。入場料500円。コマーレ=0930(56)1777。

=2019/03/02付 西日本新聞朝刊=

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