【街 みらい】社会動態 統計で違う人口減少数 北九州市、「転出超過」にピリピリ [福岡県]

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 自治体の人口増減の指標に、年間の転入と転出の差である「社会動態」がある。一方で、総務省が国内移動に限って毎年発表する2パターンの「人口移動報告」も似た統計だ。後者には、外国人技能実習生が入国後に一時的に住民登録した数などが含まれておらず、一部自治体は「実際は転入超過なのに、転出超過と誤解を与える」と問題提起している。人口減は自治体にとって敏感な問題。来日する外国人が増え続ける中、転入・転出に関する3パターンの統計の特性を理解しておく必要がありそうだ。

 「社会動態がようやく2018年に、マイナス700人(=イラストA)と減ってきた。若者の地元定着などを進め、19年にはこれをプラスに改善したい」。全国でも人口減が顕著な北九州市の北橋健治市長は、こう訴えて1月の市長選で勝った。かつては、社会動態のマイナスが年1万4千人を超えたこともある。合併で誕生した1963年以降、プラスだったのは最初の2年間だけだ。

 総務省は1月末に18年の移動報告を発表。それによると北九州市は、外国人を入れると「マイナス2202人」(=同B)、日本人のみだと長崎市に次いで全国ワースト2位の「マイナス1674人」(=同C)という結果だった。

 なぜ数値に差が出るのか。まず、北九州市集計の社会動態には、国外からの留学生や技能実習生などの数値が含まれている。一方、総務省は「あくまで国内移動が統計の目的」(国勢統計課)と、その数を入れていない。最近は「日本人のみ」の移動だけでなく、国内で暮らす外国人の移動も含めたデータを重視する。

 北九州市地方創生推進室は「国外からの転入を含めないと、例えば市内の留学生が東京などへ就職する数が多ければ、転出超過が大きく見える」と説明。「国外から転入した数を反映すると、留学生が市外就職してもプラスマイナスゼロ。市にとっては、それが実態に近い」と強調する。

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 総務省の人口移動報告で混乱した自治体がある。外国人を含め「マイナス3280人」と、全国最多の転出超過となった栃木県小山市だ。

 小山市には技能実習生が入国当初、日本語などを学ぶ監理団体による研修施設が多い。入国は毎月300人規模。短期間研修した後、周辺自治体の受け入れ企業に転出するため「総務省報告だと転出が際立つ」と反論する。ワースト2位の茨城県取手市、同5位の千葉県成田市でも同様の傾向が見られるという。

 小山市が北九州市と同じ社会動態を算出すると、725人の転入超過になる。小山市総合政策課は「外国人労働者は今後も増えることが予測される。誤解を招かない統計となるよう、総務省に改善を要望することも考えたい」としている。

=2019/03/06付 西日本新聞朝刊=

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