「MOTTAINAIキッチン」制作へ 映画「0円キッチン」のグロス監督 ネット募金で資金 「食品ロス」再び問う [福岡県]

上毛町の住民からもらったハッサクを手にするダーヴィド・グロス監督
上毛町の住民からもらったハッサクを手にするダーヴィド・グロス監督
写真を見る
ダーヴィド・グロス監督が制作した「0円キッチン」のチラシ
ダーヴィド・グロス監督が制作した「0円キッチン」のチラシ
写真を見る

 本来食べられるにもかかわらず捨てられる食材。その「救出人」として、廃油で走るキッチンカーで欧州5カ国を回り、おいしい料理を振る舞ってきたドキュメンタリー映画「0円キッチン」(2015年、オーストリア)を制作したダーヴィド・グロス監督(40)が日本で“第2弾”を制作することになった。題名は「MOTTAINAI(もったいない)キッチン」。6月ごろから撮影に入り、年内の完成を目指す。

 グロス監督はオーストリア出身。同国を中心に、日本では妻が暮らす上毛町を拠点に活動している。

 制作のきっかけは、2017年1月に前作の公開に合わせ初来日した際、「(無駄にすることを戒め、大切にする)日本のもったいない精神に感銘を受けた」こと。日本を舞台に映画づくりをしようと、17年度に福岡市の映画会社「ユナイテッドピープル」(関根健次代表)などと制作資金の一部をクラウドファンディング(CF)で集めようとしたが、目標額に達しなかった。

 その後、前作の上映会が全国各地で拡大し「食品ロス」に関心が高まる中、今年2月から3月にかけ改めて呼び掛けたところ、目標額を超える2278万円の申し出があり、実現することになった。制作はオーストリアと日本の混合チームで行うという。

 17年秋には、新作の構想を練るため、日本各地を回った。賞味期限切れで廃棄されるコンビニエンスストアの弁当などの大まかな取材先は決まっているが、具体的な内容は「シークレット(秘密)」だ。

 規格外や売れ残りなどで、食べられるにもかかわらず捨てられる国内の「食品ロス」は推計で646万トン(15年度、環境省など調べ)。国連世界食糧計画(WFP)の食糧支援量の2倍に相当する。国民1人当たりに換算すると年間51キロ。「もったいない精神」発祥の地でも深刻な問題だ。

 国内を巡り、廃棄食料の中から食材を厳選し、誰でも作れる独創的なレシピを開発しながら、おいしい料理を出会った人たちに振る舞うという。

 食の“もったいない”をどう楽しく示すのか。目が離せないドキュメンタリー映画の撮影が、間もなくスタートする。

   ◇   ◇

 ダーヴィド・グロス監督 1978年8月、オーストリア・ザルツブルク生まれ。ウィーン大でコミュニケーション科学と演劇学、ドナウ大でジャーナリズムを学び卒業。ジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督として活動。映画「0円キッチン」(原題WASTECOOKING)の監督のほか、同名のTV番組のホストを務める。「0円キッチン」のイベントで上毛町に暮らす女性と知り合い、結婚した。

=2019/04/13付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]