記者がお泊まり断食 「自分の体と対話」挑戦 食生活の乱れ痛感 [福岡県]

断食の合間にハンモックで瞑想するセラピーを試みる記者。自分の体と向き合うさまざまなメニューがある
断食の合間にハンモックで瞑想するセラピーを試みる記者。自分の体と向き合うさまざまなメニューがある
写真を見る
発泡樹脂製のポールを使ってストレッチを行う参加者たち
発泡樹脂製のポールを使ってストレッチを行う参加者たち
写真を見る
写真を見る

 脂っこくて濃い味付けが大好き。仕事中もパソコンを打ちながら、お菓子をもぐもぐ…。うら若き乙女が、これじゃさすがにまずいっしょ?ってことで、記者(23)が注目したのは、若い女性の間で話題の「断食」。JR篠栗駅から車で20分ほど登った先にある旅館「若杉屋」では、「ファスティング」と呼ばれるプチ断食に挑戦できるという。何か口に入れていないとダメな私にできるかな…いや、やるんだ! 覚悟を決め、1泊2日の修行に向かった。

 昼すぎ、旅館に着くとまず生活習慣のチェックがある。「食事の時間が不規則」「外食が多い」…。悪習慣とされる項目の全てに丸がつく。うーん、情けない。その後、“断食道場”へ。少人数の相部屋と大広間があり、テレビや冷蔵庫は当然置いてない。広間にはすでに6人の参加者がいる。

 期間中、固形物は控え、ビタミンやミネラルを多く含んだ「ドリンク」だけ口にできる。ただ、ここでは食を断つだけではない。心身をリラックスさせるセラピーやストレッチなどのメニューもある。自分の体と対話をしてもらうためだとおかみの一人、品川静さんが言う。広間のハンモックに揺られ瞑想(めいそう)するセラピーをやってみた。呼吸のリズムを確認すると思ったより呼吸が浅い。首や肩も痛い。スマートフォンの使いすぎで猫背の私。姿勢の悪さも改善点のひとつのようだ。

 午後8時。おなかから何度も切ない音がする。参加者とのおしゃべりで気を紛らし10時に床に就いた。

   □    □

 午前8時起床。意外にぐっすり眠れた。普段より体が軽い。品川さんによると、旅館が断食プログラムを始めたのは昨年8月。やはり女性のリピーターが多く、痩身(そうしん)だけでなく体の変化に敏感になれるというのが人気の理由だそうだ。

 2日目は午前中、写経を行った後、「森林セラピー」へ。約2時間、山道を登りながら、時折立ち止まっては生い茂る木々を眺めたり沢の水を触ったり。風景には癒やされるが、体に力が入らない。「切り株に座って、瞑想してみましょう」。旅館のおかみで森林セラピスト廣田美由紀さんに促される。座りやすそうな所を探すうちに、切り株がバウムクーヘンに見えてきた。まずい。限界か-。

 さらに歩き続け、ようやく巨大な夫婦杉が立つゴール地点に到着。汗ばんだ体に風が心地よい。体はふらふらなのに内部から浄化されていく感覚に満たされ、食べたいという欲求が不思議と薄らいでいる。何も食べなくてもここまで動けるんだ。体が秘めた想像以上の力に、感動すら覚える。

   □    □

 旅館に戻って最後のドリンクを飲み午後4時、体験終了。体重を量ると2日間で1・5キロも落ちていた。

 「体のために必要なものってそれほど多くないんです。取りすぎている無駄なものに気付いてください」。品川さんがアドバイスしてくれた。考えてみると、食べすぎる癖がある上に、記者の仕事は不規則で、深夜に食べる生活が当たり前になっている。「もっと気遣って」。悲鳴を上げていた体のサインにやっと気付いてあげられた。

 帰り道、焼きたてのパンの香りが漂ってくる。いつもなら迷わず立ち寄るところだが、我慢できた。いつでもどこでも食べ物が手に入る時代。体のために本当に必要な食事を心がけよう、これからは。

   ◇    ◇

 若杉屋の断食プログラムは原則2泊3日(3万6千円)と3泊4日(4万8千円)=いずれも税別。対象は70歳未満。

=2017/04/18付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]