県障がい差別解消条例、10月施行 相談や紛争防止、体制を整備 [福岡県]

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 障害者への不当な差別的取り扱いを禁じる「県障がい差別解消推進条例」が10月1日に施行される。県議会2月定例会で制定され、県は4月から広報紙などで県民への啓発を図っている。県によると、同様の条例は全国22道府県で制定され(2016年4月時点)、九州では福岡と佐賀が未整備だった。ただ制定を求めてきた障害者団体からは、条例制定を一歩前進と受け止める声とともに「具体的内容が乏しく、制定までの手続きも拙速だった」との不満も漏れている。

 条例は第1条で「誤解、偏見、社会的障壁の存在により、障がいのある人の自立、社会参加がいまだ妨げられている」と現状を指摘。差別解消推進に向け、この条例で基本理念を定めるとしている。県の責務や事業者、県民の役割を明示し、差別に関する相談への対応や紛争防止のための体制、啓発の基本方針なども明記している。さらに第8条1項では「何人も、障がいのある人に対し、あらゆる分野において、不当な差別的取り扱いを行ってはならない」と規定している。

 ■「他県より後退」

 ただ、「県障害者権利条例を創(つく)る会」の藤田幸廣世話人代表は、第8条2項の「社会的障壁の除去に『可能な限り』努めなければならない」との表現を問題視する。「可能な限りでは、場合によっては差別をなくさなくてもいいと言ってるのと同じだ」と非難。他県の条例では「客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情を除き」(長崎県)といった文言になっており、福岡は後退している印象という。

 県が条例作りに着手したのは、昨年4月の障害者差別解消法施行を受けてからだった。障害者団体から聞き取りをして同12月に条例の素案を公表。パブリックコメント(意見公募)と県内4カ所での県民意見聴取会を行った。同会は、この制定過程にも不満を漏らす。他県では障害者との協議を1年以上かけているのに対して「あまりに短時間で制定された」と批判する。県民意見聴取会でも「10月施行は拙速ではないか、もう少し真剣に県民の意見を聞いてほしい」との声が出ていたという。

 ■「聞き取り急ぐ」

 「条例ができたのはうれしい」。県精神障害者福祉会連合会の一木猛会長は、条例制定を評価する。ただ「差別をなくすために、事業者や県民が具体的にどうしたらいいのか分からないのでは」と、啓発が重要だと訴える。

 県は、障害者配慮の具体例を挙げ、条例を県内に浸透させようと、医療や福祉サービスなど10分野ごとのガイドラインの作成を進めている。しかし作業は遅れているという。一木会長は「施行時に条例をきちんとスタートさせるためにも、啓発期間に入る4月までに作成すべきだった」と苦言を呈す。

 こうした声に対し県障がい福祉課は「条例には見直し規定があり、作って終わりとは考えていない」と説明。今後、障害者などからの意見の聞き取りを急ぎ「ガイドライン作りなどに反映させたい」としている。

=2017/04/21付 西日本新聞朝刊=

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