旅するチョウ、薄青の羽優美 宗像、福津でアサギマダラ追う 飛来シーズン、心躍る [福岡県]

江口浜の砂浜をひらひらと舞うアサギマダラ
江口浜の砂浜をひらひらと舞うアサギマダラ
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江口浜で捕獲したアサギマダラを計測するメンバー(前田秀敏さん提供)
江口浜で捕獲したアサギマダラを計測するメンバー(前田秀敏さん提供)
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スナビキソウ(中央)のほかハマボウフウ、コウボウムギなど植生が見られる津屋崎浜
スナビキソウ(中央)のほかハマボウフウ、コウボウムギなど植生が見られる津屋崎浜
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 海を越え、最大2千キロもの距離を飛ぶこともある旅するチョウ・アサギマダラ。日本列島を北上するチョウの姿が今年も、宗像、福津両市の砂浜で見られるようになった。飛行ルートが解明されていない謎のチョウは、どこから来てどこへ行くのか。その神秘にひかれ、観察を続ける人々を訪ねた。

 13日午前9時すぎ。前日までの雨が上がり、気温が20度を超えた。宗像市を流れる釣川の河口近く、江口浜に捕虫網を持った人たちが集まっている。「宗像アサギマダラの会」(前田秀敏代表)のメンバーがチョウの飛来を確認し、羽に標識を書いて放す「マーキング」をしていた。

 アサギマダラは5月ごろに遠くは北海道まで北上し、9~10月に南下してくるが、どんなルートで宗像の海岸に来ているのか、はっきり分からない。観察仲間は全国におり、マーキングをしたチョウが別の地点で見つかるとインターネット上で知らせてくれる。5月の例では、過去に宮崎市で放蝶された個体が宗像市で見つかったことがある。毎朝7時半ごろから観察している土肥数利さん(70)は「そろそろ飛来のピークになるころ」と話す。

 この時期、アサギマダラは砂浜に咲くスナビキソウの蜜を吸いに来る。土肥さんに教わり、スナビキソウの群生の中にじっと座り込んでいると、周囲をヒラヒラと何かが舞い始めた。アサギマダラだ。薄青色のまだら模様の羽が美しい。私が見た4羽も含め、この海岸では20羽余りが確認されている。

   ◇   ◇

 14日午前8時半。晴天に恵まれ福津市津屋崎浜は気温24度近くまで上がった。地元のまちおこしグループ「海とまちなみの会」会長の吉村勝利さん(72)は折りたたみいすに腰掛け、長期戦の構えで海岸線に目を凝らしていた。この砂浜では5日朝にアサギマダラの初飛来があったという。

 休日の朝とあって釣りざおやサーフボードを携えた人たちが楽しげに行き交う。私もつい波打ち際に引き寄せられアサリや海藻を探してしまう。9時3分。「いました」と吉村さんの弾んだ声に振り返ると、砂浜にヒラヒラと影が見えた。だがチョウの種類を確認する前に見失ってしまった。

 その後は待てど暮らせど現れない。その間、吉村さんに浜辺の植物を教えてもらう。スナビキソウのほかピンクのじゅうたんのようなハマヒルガオ、ミツバチが集まるハマボウフウ、筆のような姿をしたコウボウムギ、ヘルシー食材としておなじみのオカヒジキ…。何て豊かな植生なのだろう。砂浜にこんなに多くの植物が生えているとは知らなかった。

 結局この日、アサギマダラの飛来確認まではかなわなかった。だが朝の潮風はすがすがしく、心身が洗われた。運動不足解消も兼ねてしばらくは、砂浜にチョウを探してみよう。

=2017/05/16付 西日本新聞朝刊=

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