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くる農で知る農 久留米市の体験プログラム 作付け、手入れ、収穫… 苦労と工夫を学ぶ [福岡県]

リーフレタスの切り口を塩水のしみこんだタオルで拭く。根気のいる作業だ
リーフレタスの切り口を塩水のしみこんだタオルで拭く。根気のいる作業だ
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まだ花が咲いていないシクラメンの芽と葉を整える「葉組み」
まだ花が咲いていないシクラメンの芽と葉を整える「葉組み」
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 県内一の農業産出額を誇る久留米市で、農村や里山の風景に親しみながら農業を体験できるプログラム「くる農」が人気だ。作付けや手入れ、出荷作業などを通して、消費者に農家の苦労やこだわりを伝えようと、市が昨年始めた。二つのプログラムを実際に体験してみた。

 9月上旬のある朝、家族連れなど5人の応募者とともに市東部の太郎原町にある農園を訪ねた。園を営む野村勝浩さん(56)の指導で、まずは露地栽培のリーフレタスの収穫に参加した。

 リーフレタスは一般的な玉レタスに比べビタミンやミネラルが豊富で、市がブランド化を後押ししている特産野菜だ。気温が上がるとしなびてしまうため、野村さんたちは手際良く包丁で芯を切り、段ボール箱に積めて近くの集荷場に運び出していく。

 参加者に割り当てられたのは段ボール箱詰めと、リーフレタスの切り口を塩水に浸したタオルで拭いていく作業だ。「切った瞬間から傷みだす。樹液が外に漏れ出すのを防ぐことで鮮度を保ってくれる」と野村さん。みずみずしい野菜が家庭で食べられるのもこうした工夫のおかげなのだ。

 秋空の下、遠くに見える耳納(みのう)連山は一直線の尾根が美しく、会話も弾む。作業をしていると野村さんのお母さん(78)が「おみそ汁に入れてもおいしかですよ」と教えてくれた。

 その後、隣接するビニールハウスでコマツナの袋詰めも体験。野菜のお土産を受け取り、近くの「道の駅くるめ」に移動した。野村さんが育てたお米と、地元産の食材を使った食事が疲れた体を癒やしてくれた。

 家族で大野城市から参加した小竹良哉さん(46)は「くる農」のリピーター。「娘の食育のつもりで参加したのがきっかけ。生産者の思いや、食べ物のありがたみが学べていいですね」と話してくれた。

 次に訪ねたのはギフトとして人気のシクラメンを栽培する坂本植物園(久留米市田主丸町)。ビニールハウスで育てた約80種、1万6千鉢をクリスマスや歳暮向けに、毎年11月下旬~12月下旬に出荷している。

 代表の坂本和盛さん(54)がハウスの中を案内してくれた。花を触る前に、まずは消毒液に手を浸す。シクラメンは病気に弱く一輪車やスコップといった作業道具も殺菌処理しているという。

 体験したのは「葉組み」と呼ばれるシクラメン独特の手入れ。花が付いた芽をプラスチック製の輪で囲い中央に寄せ、葉の部分を外側に広げる。葉に日光が当たるようにして花を増やす作業で、絡まった茎をかき分け、一つ一つほどく。

 出荷までに同じような手入れを計4、5回繰り返すことで、中央に花が集まって葉がふんわりと広がった美しい姿に育つという。根気のいる作業の先に美しい花があるのだと実感できた。坂本さんは「シクラメンは手入れをすればするほど応えてくれる。見る人が見れば一目で手を掛けたか分かる」と話してくれた。

 坂本さんは温暖な九州では難しいと言われたシクラメン栽培の全国コンクールで賞を獲得するほどの技術を持つ。「花が好きな人に少しでも長持ちする栽培方法を伝えられたら」。参加者にはシクラメンの鉢植えをプレゼントするそうだ。

 メモ 久留米市は、来年3月までのくる農の参加者を募集している。カキの収穫や枝集め、イチゴの苗づくりなど約10のプログラムを用意。一部は定員に達している。内容を紹介したパンフレットは市役所や道の駅などで配布中。参加料は食事付きで2千円~2800円。同市みどりの里づくり推進機構=0942(27)5342。

=2017/09/29付 西日本新聞朝刊=

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