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久留米絣奥深き伝統技 広川町で手織り、機械織り工房見学 「日常」から「芸術」まで多彩な品 [福岡県]

染色用の藍が入ったかめをかき混ぜる山村さん
染色用の藍が入ったかめをかき混ぜる山村さん
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「坂田織物」でずらりと並んだ機械式の織機
「坂田織物」でずらりと並んだ機械式の織機
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投杼機で反物を織っていく山村さん
投杼機で反物を織っていく山村さん
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 江戸時代後期から200年以上の歴史を持ち、日本三大かすりの一つとされる久留米絣(がすり)。かすれた素朴な柄と着るほどに肌になじむ風合いの良さが特徴だ。広川町には、伝統的な手織りと大量生産できる機械織りの織元が集まり、その多くが見学者向けに予約制で工房を公開している。二つの生産現場を訪ね、職人の緻密な技術や奥深い世界に目を凝らした。

 カシャンカシャン-。工房内に織り機の乾いた音が響く。広川町長延の坂田織物。24台の機械が四角や十字などの幾何学模様のほか、草花や動物などさまざまな柄の反物を織り上げている。

 「1日8時間ほど稼働し、1台で着物1着分となる1反(幅38センチ、長さ12メートル)を織り上げます。機械織りと言っても、ちゃんと織るためには職人の目と技術が欠かせない」。3代目を継ぐことになっている坂田和生さん(41)が解説する。

 久留米絣は藍染めが主体の木綿織物。「括(くく)り」と呼ばれる染色法が特徴で、糸の染めたくない部分を麻でしばり、染料が染み込まないようにして染色。先染めした糸で織ることで、独特のかすれた柄を作り出す。「人工的なプリントでは出せない風味ある柄が特徴です」と坂田さん。着物のような和服だけでなく、ブラウスやワンピース、日傘などにもなり、生活に潤いを与える。

 現在、久留米絣協同組合には筑後地区の計23の織元が所属し、その半数以上が広川町にある。1957年に国の重要無形文化財に、76年に伝統的工芸品にそれぞれ指定されるなど県を代表する伝統産業となっている。

 大量生産が可能な機械織りとは対照的に、一つの反物を、時間をかけて制作するのが手織りだ。

 重要無形文化財技術保持者会会員の山村省二さん(58)=広川町長延=が4代目を務める「山藍」では、昔ながらの方法でかすりを作る。

 まず案内してもらったのが染場。土に埋められた複数のかめでは天然の藍を発酵させており、50、60回ほど重ねて染めることで濃紺の深い色を出す。かめをかき混ぜて状態を確認していた山村さんは「かすりは使い込んでいくほどあくが抜け、色が深まっていく」と魅力を語る。

 「括り」をはじめ全てが手作業。織りの工程は伝統的な「投杼機(なげひばた)」を使い、横糸を巻いた杼(ひ)と呼ばれる道具を縦糸に交差するように文字通り手で投げて丹念に織っていく。「一日で数十センチしか進まないこともある」と山村さん。

 最高級のかすりは年間でわずか2柄、4反しか作らない。毎年新たな柄を考案するが完成まで数カ月かかるという。1反で60万、70万円という価格にも納得してしまう。

 約200年前、当時10代前半の少女だった井上伝が始めたとされる久留米絣。現在は機械織りと手織りという形で受け継がれ、気軽に手に入る商品から、芸術品のような反物まで多彩な品がそろう。異なる二つの顔を持つからこそ、光り続けているのだろう。

 ■18、19日にかすり祭り

 18、19日に広川町日吉の町産業展示会館で「秋のかすり祭り」が開かれる。町内の織元など11軒が参加し、反物や洋服、端切れなどの展示即売会を行う。午前9時~午後5時。ひろかわ藍彩市場=0943(32)5555。また、久留米絣協同組合では工房見学が可能な織元を紹介している。同組合=0942(44)3701。

=2017/11/10付 西日本新聞朝刊=

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