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おしゃべりの種は記事 古民家で「まわしよみ新聞」 福津市津屋崎週に1度 [福岡県]

切り抜いた記事を貼り、コメントを書いたら、まわしよみ新聞の完成
切り抜いた記事を貼り、コメントを書いたら、まわしよみ新聞の完成
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まずは新聞を読み、お茶や菓子を口にしながら、気になる記事を切り取る
まずは新聞を読み、お茶や菓子を口にしながら、気になる記事を切り取る
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 新聞の読み方、使い方はいろいろある。私の好きなまち、福津市津屋崎では「まわしよみ新聞」が週に1度の割合で定着している。場所は古民家の土間。初めて体験して、こんな新聞の読み方、使い方があるのかと感じ入った。そこは「新聞を手におしゃべりを楽しむ場」だった。

 まわしよみ新聞は、参加者が興味のある新聞記事を切り抜き、意見を交わし、一緒に壁新聞を作るワークショップ。5年前に大阪で始まり、学校や職場にも広がっている。

 津屋崎で主催しているのは、まちづくり活動をしている津屋崎ブランチ。私が参加した8日は、昨年4月の開始から数えて72回目。イベントなどに活用されている古民家「みんなの縁側 王丸屋」に幅広い年齢層の9人が集まった。

 参加者はまず、はさみを手に新聞を読み、気になった記事を数本切り取る。それが会話の種になる。雨上がりの朝。戸を開け放しているので、心地よい風が時折肌をなでる。

 20分ほどたったら二つのテーブルに分かれ、選んだ記事を出し合い、ざっくばらんに語り合う。最初に話題になったのは、この日の本紙1面に載った「若者が保守化 本当?」。

 「みんなと一緒、主流がいいのかな」「とりあえずビール、くらいの選択じゃない」「投票した政党のグラフは自民党が一番多いけれど、10代と20代は投票した人が少ないから、一概に保守化とは言えないよ」

 政治の記事だからといって、批評や「べき論」はないし、眉間にしわが寄ることもない。話題は多方面に転がる。「選挙公報は期日前投票の前に届くようにならないかな」「前回の選挙公約の達成度合いを新聞に書いてほしいですね」。はい、努力します。

 ほかにも民泊への苦情、八木山バイパスの渋滞、うどん店を使ったパークアンドライド、小学生の夢、100歳の女子アナの記事で会話が弾む。コーヒーを飲み、落花生やミカンを食べながら、初対面であることを忘れそうなひととき。

 最後は模造紙に切り抜いた記事を貼る。サインペンで外枠やイラスト、コメントを添えると、カラフルな壁新聞の完成だ。

 まわしよみ新聞の魅力は何だろう。常連の陶芸家、藤吉憲典さん(50)は「同じ記事に共感することもあれば、意見が違うことだってある。そこがいい」。確かに、発言を否定されることはない。福岡市東区の三浦直子さん(47)も「一人一人の意見を受け入れてくれること」を挙げた。ある記事をきっかけに、参加者が家族の内面を語ったのが印象に残ったそうだ。

 対話が乏しいまちは人の結びつきも弱い。まわしよみ新聞は、まちづくりにも生かせる。津屋崎ブランチのスタッフ、福井崇郎さん(29)は言う。

 「ここのまわしよみ新聞は、おしゃべりの時間が長いんです。そうして出会った人がつながり、新しい行き来が生まれる場所を目指しています」

 無理して参加者を増やさない。程よい広さの古民家で100号を目指す。

■会場の「みんなの縁側」 いろいろな交流の場に

 「みんなの縁側 王丸屋」=写真=は、津屋崎千軒と呼ばれた古い町並みにある。推定築140年。屋号は明治創業の燃料店から受け継ぐ。空き家の時期を経て、交流の場に生まれ変わった。

 店主の冨永透さん(30)は元小学校教員。「縁側のように、ひょいと腰掛けてほっとできる場所にしたい」。そんな思いを「みんなの縁側」の名に込めた。

 これまでにカフェ、ステンドグラス教室、パーティーなどに利用された。12月から主に中学生を対象にした「ヒミツの勉強部屋」を始める。福津市津屋崎4丁目。

 メモ 津屋崎ブランチ主催のまわしよみ新聞は原則、水曜午前9時半から2時間程度。誰でも参加できる。次回は22日。参加費200円。新聞を1部持参する。詳しくは津屋崎ブランチのウェブサイトで。

=2017/11/15付 西日本新聞朝刊=

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