糸車使い江戸期の技 「小倉織」のこだわりに触れる 研究会、古文献に当たり製法倣う [福岡県]

「昔の技術で今でも使えるものをつくりたい」と話す豊前小倉織研究会の大和恵子代表
「昔の技術で今でも使えるものをつくりたい」と話す豊前小倉織研究会の大和恵子代表
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糸車を使って糸を紡ぐ作業
糸車を使って糸を紡ぐ作業
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豊前小倉織研究会が普及用に考案した「mini小倉」。携帯ストラップを作ることができる
豊前小倉織研究会が普及用に考案した「mini小倉」。携帯ストラップを作ることができる
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 美しさと丈夫さを兼ね備えた伝統工芸の「小倉織」は、和服の帯だけでなく、バッグや財布など現代でもさまざまに応用されている。北九州市小倉北区の「豊前小倉織研究会」は、小倉織が最も盛んだったという江戸時代と同様の技術で創作活動に取り組んでいる。和綿を栽培し、昔ながらの糸車を使って手作業で糸を紡ぐなど、手間暇をかける。工房を訪ね、こだわりに触れた。

 小倉北区中津口1丁目にある研究会の工房には、織り機や糸車などが所狭しと並ぶ。代表の大和恵子さん(67)は「昔の技術で、今でも使えるものを生み出したい」と話す。糸の原料とする日本古来の和綿は、市内の農家に依頼して育てる。洋綿より繊維が細く短く、機械紡績には向かない一方で「なめらかで優しい手触りに仕上がる」(大和さん)という。糸車は、織物業が盛んな愛知県の業者に製作してもらった。

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 小倉地域は幕末、長州藩との戦いで小倉城が炎上するなど混乱した。そのためか、今に伝わる小倉織の現物は少ないとされる。江戸時代の小倉織とはどのようなものだったのか-。大和さんが調査を志したきっかけは、小倉織に関する市民講座を聴講したこと。特徴を伝え聞くことはできるのに、実際の姿がはっきりしないことを聞いて「特産の織物の全体像を知りたい」と心動かされた。

 会は1995年の発足以来、各地の博物館所蔵の小倉織と伝わるはかまなどの調査を進めた。関連の記述がある古文献に当たり、発表した研究論文で「2~4本の糸をより合わせて織る厚手で丈夫な織物」と定義付けた。名古屋市の徳川美術館にある羽織や、永青文庫(東京)が所蔵する茶器の箱に結ばれたひも…。小倉織とされる品の、糸の本数や密度を分析し、文献の記述と一致することを確認した。

 製法は各地に広がり、小倉織のはかまは強いとして愛されたという。この製法に倣い、会でも紡いだ糸を2本に合わせてから織るため、制作には相応の時間がかかる。糸は太く、繊細さの中に力強さが光る。

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 現在、研究会には7人が所属。工芸品展に出品する創作帯を織るほか、名刺入れや印鑑ケースなど日用品を生産する。綿花の種取りから、糸を紡いで必要な色に染め、一つの作品に仕上がるまで全て手作業で取り組んでいる。

 伝承活動にも力を入れる。2014年には、気軽に小倉織を体験できるプラスチック製の簡易織り機「mini小倉」を開発した。織物の仕組みを学びながら幅数センチのひもを織り、携帯電話のストラップに仕上げる。小学校での講座で活躍中だ。

 昨年は市民センターや学校、文化団体での講座が10回を超えた。大和さんは「現在でも通用する古い技術が、地域にあったことを伝えていきたい」と意気込んでいる。

=2018/01/22付 西日本新聞朝刊=

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