「西鉄の顔」お客さまセンターの涙ぐましい努力とは? [福岡県]

西鉄お客さまセンター内部。オペレーターたちが次々にかかってくる電話に応対している
西鉄お客さまセンター内部。オペレーターたちが次々にかかってくる電話に応対している
写真を見る
「正確で早く」を目標に、丁寧な言葉で話すオペレーター
「正確で早く」を目標に、丁寧な言葉で話すオペレーター
写真を見る

 「目的地には、どのバス路線に乗るとよかろか」。そんな疑問を抱いてネット検索しても分からず、ここに電話したことがある人も多いのでは。そう、西日本鉄道の「お客さまセンター」だ。丁寧に「道案内」してくれるセンターは、一体どんなところなのか。興味津々で取材すると、そこにはオペレーターたちの涙ぐましい努力があった-。

 福岡市内のビル街の一角。厳重なセキュリティーシステムを特別に通してもらいフロアに入った。広さは小学校の教室の半分ほどで、オペレーター十数人が並んで座っている。ほとんどが30~50代の女性だ。

 「ありがとうございます。西鉄お客さまセンターの○○です」。電話がかかってきたばかりなのか、ヘッドホン付きマイクを装着したオペレーターの優しい声。隣の席とは透明の板で仕切られ、それぞれの机の上には、時刻表の閲覧や忘れ物検索ができるパソコンのほか、地図帳やメモ用紙などが置いてある。

 オペレーターの指導役で、応答の補佐も兼ねるマネジャーの元電車運転士柳瀬敏行さん(45)と、元バスガイド大城真由美さんによると、センターが対応している毎日午前6時から翌午前0時までにかかってくる件数は1日平均3500件。多い時間帯は30人近くが電話を受けるという。

 内容はさまざまだ。最も多いのはバス関連の時刻や落とし物の問い合わせだが、西鉄グループ各社の窓口にもなっているため、ホテルなどの旅行関連、マンションなど不動産情報といった質問まであり、関連部署への取り次ぎなどもオペレーターの重要な役目だ。

 「お客さまに対する西鉄の顔の部分なので、悪印象を持たれないことが第一」と柳瀬さん。声だけで対応するオペレーターの質向上のため、第一声の印象はどうか、案内は的確か、といった内容を、実際に電話して確かめる「覆面調査」を外部委託しているという。

 ★アンテナ張る

 オペレーターには、月1回の勉強会もある。問い合わせが増えると予想される大型イベントの日程や場所、交通規制などの情報を共有するためだ。

 オペレーター同士の普段からの情報交換も欠かせないという。「(停留所の場所を案内する際の)目印のコンビニがローソンに変わった」「テレビで糸島市のカキ小屋をPRしていたので、問い合わせが増えるかも」といった具合だ。全員が「常に街の情報にアンテナを張っている」(柳瀬さん)という。

 ただ、苦情や怒りの電話も多いはず。夜中の酔っぱらいもいるはずだ。「そんなときも、ぐっと気を落ち着けて、西鉄のために電話をいただいていると思い、決して言い返すようなことはありません」と大城さん。プロ意識に頭が下がる。

 ★自席で泣いた

 オペレーターの一人、永瀬純子さん(37)は配属2年目だ。「まだまだ新人」と言う永瀬さんは、計3カ月間の研修や実践指導を受けた後、独り立ちして間もない頃に受けた電話が、今も印象に残っている。

 バスの乗り継ぎの問い合わせで、お客は北九州市の下曽根駅前バス停に到着後、下曽根駅南口バス停に歩いて移動する必要があった。ただ永瀬さんは当時、両バス停の位置関係をよく把握しておらず、駅構内を通って最短で移動できることを伝えられなかった。要領を得ず、お客からは怒鳴られ…。

 電話が切れた後、永瀬さんは自席で泣いた。「怒られたことより、説明できなかったことが悔しかった」。次の休みの日、自ら北九州市に出向き、現地を確認した。

 西鉄のバス停は県内に約4200。素早く、的確に問い合わせに応じられようになるのが目標の永瀬さん。「電話の最後に一言、『ありがとう』や『お疲れさまです』と声を掛けられると、それだけで、とても晴れやかな気持ちになります」。電話の向こうの息づかい。気にも留めていなかった自分を恥じた。

=2018/01/23付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

ボートレース3連単直前予想

西日本新聞のイチオシ [PR]