「出征した長男送る父」歌に 家族の戦争遺族が制作依頼 野田かつひこさん、筑後市で披露 [福岡県]

早世した浅山靖夫さんの写真をバックに歌う野田かつひこさん
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 太平洋戦争で早世した男性とその父親の物語を、久留米市のシンガー・ソングライター野田かつひこさん(52)が歌にして、11日に筑後市のホテルで初披露した。出征した男性と、送り出した父の思いが残る手紙や遺族の話を基に楽曲を練り上げた。

 父は1972年に73歳で亡くなったみやま市の浅山伝蔵さんで、男性は20歳で戦死した長男の靖夫さん。靖夫さんの弟で、野田さんのファンでもある和生さん(71)が制作を依頼。この日、伝蔵さんの五十回忌法要を親族約50人で開いたのに合わせ、法要後の会食の席で野田さんが歌った。法要は、高齢の親族が集まりやすいようにと3年早めて開いたという。

 タイトルは「ワダツミの詩」。バラード調で始まり、サビの「大空に消えていった あの日のひこうき雲」という歌詞から一気に曲調が力強くなる。

 靖夫さんは15歳で旧海軍の佐世保海兵団に入隊。45年2月に軍用機で出撃し、台湾南端付近で米軍機と交戦して亡くなったとみられる。

 伝蔵さんは靖夫さんと44年12月に連絡が取れなくなり、再会はかなわなかったが、「遺族の皆さんが思い起こす歌の中では、2人の姿が重なり合うようにした」と野田さん。何度も歌詞やメロディーを書き直し、11日の前日に完成させた。

 初披露はギターの弾き語り。2人をしのんで涙を流す参加者もおり、和生さんは「当時は父も兄も本音を語れない時代だったが、手紙の中に望郷の念があったことが分かる。二度と戦争を起こしてはならない」と語った。

=2018/02/12付 西日本新聞朝刊=

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