長距離フェリー設備に驚き 小中学生向け見学会同行 参加者「将来は航海士に」 [福岡県]

かじを操るステアリングを船長の指示で握ってみる門司中の生徒
かじを操るステアリングを船長の指示で握ってみる門司中の生徒
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船内に設置されたペット用のケージ
船内に設置されたペット用のケージ
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カーフェリー「りつりん」(オーシャントランス提供)
カーフェリー「りつりん」(オーシャントランス提供)
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 日本の海を行き交うフェリーのうち、片道の航路距離が300キロ以上の長距離に及ぶものは全国で8社11航路あり、うち3社4航路が北九州市の港を使っているという。海岸沿いを車で走っていると、確かに大きなフェリーが目につく。船内はどうなっているのだろう…と思っていたら、市内の小中学生向けにフェリーの見学会が催されていると聞いた。早速、同行させてもらった。

 訪ねたのは、東京、徳島、北九州を結ぶオーシャントランス(東京)のカーフェリー「りつりん」(1万2636トン、乗組員21人)。今月1日、停泊する新門司港(北九州市門司区)に向かい、職場体験で船内を見学する門司中(同区)の1年生7人と合流した。

 「でかい」。船に近づくと、その大きさに圧倒された。全長190メートル、幅27メートル。船内は7階構造になっているという。岸壁にはトレーラーの荷台がずらりと並んでいる。「全て、りつりんから降ろしたり、これから積んだりするものです」。案内役を務めてくれたのは、オーシャントランス北九州支店(同区)営業企画部の鵜池毅課長。荷台は長さ約13メートル、高さ約3・8メートル、幅約2・5メートルの大きさで、「車両甲板」と呼ばれる船内の空間(1~4階)に188台も積め、さらに乗用車も80台まで積載可能だという。

 「へー」と感心しながら船内へ。車両甲板を経て、266人の旅客を収容する客室フロアを見て回った。2人部屋や4人部屋のほか、バリアフリー対応の客室、ペット用のケージなども備えている。

 バスルームには航行時、湯がなみなみと張られるが、「波が高くなるとあふれてしまい、利用禁止になります」(鵜池課長)。陸から離れた海洋を進む交通機関ならではの設備はお風呂だけではない。「地デジが入らないので、テレビは衛星放送なんです」(同)。驚くことばかりだ。

 見学会は船の仕事を知ってもらうため、市内の小学校などを対象に、福岡運輸支局と若松海事事務所が2008年に始めた。北九州市の港を利用しフェリーを運航する阪九フェリー(門司区)とオーシャントランスが協力し、年に5校ほど、計約150人の申し込みがあるという。

 見学会の背景にあるのは人手不足だ。運輸支局によると15年10月時点で、国内の港を結ぶ船の乗組員のほぼ半数が50歳以上。60歳以上は約2割で高齢化が進む。運輸支局の井上雄二首席運輸企画専門官は「現場の危機感はかなり強い。見学会を通し、若者に船の仕事を将来の選択肢として考えてほしい」と願う。

 りつりんの見学会では、体験学習の場も設けられていた。田口徹船長が操舵(そうだ)室で、車のものとほぼ同じ大きさのステアリングを指さし、「小さいでしょ? 船のかじを動かす、いわゆるハンドルです。これで巨大なかじを操ります」と説明。田口船長の指導で、緊張した面持ちでステアリングを握る生徒たち。陸地を画面に映すレーダーの操作方法の説明もあった。

 見学会の終わりがけ、中学生たちに感想を聞いてみた。池田樹さん(13)は「門司は海が近いのに、知らないことばかりだった。まだ将来は決まってないけど、船長から話を聞き、大海原を走る船の仕事にやりがいを感じた」。福田寛大さん(13)は「設備が大きくて船内はきれい。将来は航海士になりたいと思った」と笑顔を見せた。

 2人の言葉に、日本経済を支える海運の未来にほのかな光を感じた。

=2018/02/17付 西日本新聞朝刊=

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