福岡の劇団の登竜門「ぽんプラザホール」 稼働率94%人気小劇場 キャナル近く、利用料安く [福岡県]

ぽんプラザホールは客席と手前の舞台が近い
ぽんプラザホールは客席と手前の舞台が近い
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上演したトラッシュマスターズの新作「埋没」(稽古の様子)
上演したトラッシュマスターズの新作「埋没」(稽古の様子)
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キャナルシティ博多のそばにあるぽんプラザ。ホールは4階にある
キャナルシティ博多のそばにあるぽんプラザ。ホールは4階にある
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 福岡市博多区のキャナルシティ博多のそばに、市内で利用が最も多い小劇場があるのをご存じだろうか。福岡の劇団の登竜門と呼ばれる「ぽんプラザホール」(博多区祇園町)の秘密を探った。

 博多川端商店街から屋根付きの歩道橋で国体道路(国道202号)を渡り、キャナルシティ博多へ向かうと、左側に見えるビルがぽんプラザ。福岡市が2000年に開設した。

 名前の通り、ビルの下は向島ポンプ場。大量に降った雨水を下水管からくみ上げて川に流す。2階に下水管の大きな模型を展示し、下水道の仕組みや役割を紹介している。

 さて、ぽんプラザホールの統括責任者で、NPO法人アートマネージメントセンター福岡の王丸あすかさん(35)に中を案内してもらった。舞台道具が搬入できる大きなエレベーターで4階へ行くと、学校の教室二つ分くらいのホールがあった。

 ホールの正式名称は福岡市祇園音楽・演劇練習場。愛称は公募で決まった。客席は可動式で、108席か60席にできる。今まで演劇を見たホールと比べ、客席から舞台までの距離がとても近い。

 「私は下手(客席から見て左側)から見るのが好き」と王丸さん。大雨の日に排水ポンプの音がするのもここならではとか。

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 福岡市一帯を拠点とする劇団は約90あり、その半分が定期的に公演している。市内の千代、大橋、千早にも演劇練習場があるが、16年度の稼働率はぽんプラザが94%で最も高い。

 交通の便の良さと、基本料金が1日1万2800円と安いのが人気の秘密。東京では1日10万円を超える劇場もあるという。演劇以外にも音楽やダンスに使われていて、利用希望日が重なると抽選になる。

 ここから飛躍した福岡の劇団で有名なのが「万能グローブガラパゴスダイナモス」。05年にぽんプラザで旗揚げ公演をしてから着実にファンを増やし、もっと大きなイムズホールやキャナルシティ劇場に立ち、東京進出も果たした。

 「高校生の時から来ていて、いつか公演をやってみたい場所だった」と主宰の椎木樹人さん(32)。「ぽんプラザはちょうどいいサイズで、やりたいことをやれる。節目の作品はここで勝負してきた」と強い思い入れを口にした。

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 演劇公演の雰囲気を体感しようと、東京の劇団「トラッシュマスターズ」の「埋没」を3日に鑑賞した。高知県大川村を舞台に、過疎やダム問題を巡る人間模様を描いた作品。2時間半の公演中、人生観や都市と田舎の違いを深く考えさせられた。舞台が近いので、登場人物が言い合う場面は緊迫感が伝わった。

 公演後、劇団主宰の中津留章仁さん(44)に小劇場の魅力を聞いた。「俳優も演出家も客も育つ場所が小劇場。観客が好きな劇団を見つけて応援し続けると、俳優も技を磨こうとする」。劇団が成長するためには観客の目が必要と言う。

 関係者によると、地元の劇団公演がぽんプラザに集中するのは、固定ファンが増えず、大ホールに挑戦できない事情もあるそうだ。

 ぽんプラザホールでは、週末を中心にさまざまな公演が開かれている。小劇場ならではの良さを感じに出掛けてみませんか。

=2018/02/20付 西日本新聞朝刊=

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