日田彦山線沿線にエール 一部区間が不通、九州豪雨の爪痕なお SL人吉とバスの旅に同行 [福岡県]

JR小倉駅のホームに入ってきたSL人吉の客車
JR小倉駅のホームに入ってきたSL人吉の客車
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SL人吉の客車内は木を基調とした空間だ
SL人吉の客車内は木を基調とした空間だ
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田川市のJR田川伊田駅に停車。乗客はホームに降りて、特産品の買い物を楽しんだ
田川市のJR田川伊田駅に停車。乗客はホームに降りて、特産品の買い物を楽しんだ
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バスで訪れた東峰村の道の駅「小石原」には販売ブースが設けられた
バスで訪れた東峰村の道の駅「小石原」には販売ブースが設けられた
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 九州豪雨で被災し、一部区間で不通が続くJR日田彦山線。その沿線地域を、JR九州の観光列車「SL人吉」の客車とバスで巡る復興支援の日帰りツアーが催された。普段は熊本県の熊本-人吉間を結ぶ列車に乗ることができるイベントとあって、鉄道ファンや家族連れの応募が殺到したという。被災地復興を願い、約120人が参加したツアーに同行した。

 SL人吉による日帰りツアーは、北九州市と大分県日田市を結ぶ日田彦山線の利用促進や地域活性化につなげようと、沿線7市町村でつくる自治体連絡会が昨年1月、JR九州と初めて開催した。2回目の今回、添田(添田町)-夜明(日田市)で不通が続いていることから復興支援を打ち出し、途中でバスに乗り換えるコースに変えて、10日に実施した。

 午前8時すぎ、SL人吉の濃茶色の客車が、ディーゼル機関車にけん引されて北九州市の小倉駅ホームに到着した。客車内は木を基調とし、3両編成の両端には展望に優れたラウンジも備える。景色も楽しめそうだ。

 午前8時15分に小倉駅を出発。車窓の風景は、ビル街や工場群がにぎやかな北九州から筑豊方面に進むにつれて、のどかな田園風景に変わっていった。「香春町は『青春の門』などに登場する香春岳で有名です」。走行中、ツアースタッフが車内アナウンスで沿線の見どころを紹介していった。

 受け付け開始から、1週間ほどで予約が埋まったというツアー。会社員の小崎大智さん(20)は、はるばる名古屋市から参加した。鉄道旅行が趣味で、昨秋に別のツアーで初めて日田彦山線の列車に乗り、すっかりファンになったという。「炭鉱の歴史が残る地域。名古屋にはない風景です」

 乗車中、沿線や通過駅から列車にカメラを構える人を何度も見かけ、SL人吉の人気ぶりをうかがわせた。

 田川市の田川伊田駅に着くと、同市や香春町の住民やマスコットキャラクターがホームで出迎えてくれた。野菜など特産品の出店もあり、乗客は約30分間の停車中、列車から降りて買い物を楽しんだ。

   ◆   ◆

 午前10時すぎ、添田駅に到着した。一行はバスに乗り換え、山間部を通って東峰村の道の駅「小石原」に向かった。九州豪雨で大きな被害を受けた村だ。バスの窓から外に目を向けると、所々で山肌にブルーシートがかぶせてあったり、川沿いの道路が陥没したりしていた。訪れたのは被災地域のごく一部だったが、豪雨被害の大きさを垣間見ることができた。

 道の駅では、ツアーに合わせて特産品販売のブースが設けられた。まんじゅうを販売した「佐々木製菓」は豪雨後、水の供給が安定せず、営業再開まで約3カ月かかったという。従業員の木村貴美子さん(40)は「災害後、村の人通りが減った。とにかく多くの人に来てもらい、復興に向けて頑張っている住民の姿を見てもらいたい」と力を込めた。

 バスはその後、日田市に入り、江戸時代の町並みが残る豆田地区に約1時間滞在。その後、添田駅に戻った。再びSL人吉に乗車し、午後5時すぎ、小倉駅に着きツアーを終えた。

 自治体連絡会事務局は「今後もJR九州と連携し、さまざまなイベントで人を呼び込みたい」と意気込む。北九州に住む私にとっても身近なローカル線。被災地の復興を願いながら、愛用したい。

=2018/02/24付 西日本新聞朝刊=

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