北九州マラソンに記者が挑戦 快走一転、30キロ前で「太ももが…」 沿道からチョコ、塩あめ、激励 [福岡県]

スタート直後の記者。沿道の大声援に気を良くしているが、徐々に失速していく
スタート直後の記者。沿道の大声援に気を良くしているが、徐々に失速していく
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沿道の声援を受けて小倉北区の市街地を駆け抜けるランナー
沿道の声援を受けて小倉北区の市街地を駆け抜けるランナー
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門司港レトロ地区の沿道でランナーに声援を送る人たち
門司港レトロ地区の沿道でランナーに声援を送る人たち
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 毎年1万人を超えるランナーが北九州市内を駆ける市民参加型フルマラソン大会「北九州マラソン」(市など主催)は今年で5回目を迎えた。恒例となった一大イベントの熱気を体感したいと思い、フルマラソン(42・195キロ)初挑戦の記者(29)が出走した。12年間続けた柔道で培った体力を信じ、目指すは「サブ4(4時間以内)」。沿道の大声援を力に、本気で走った。 (木村知寛)

 今年の大会は2月18日にあった。快晴に恵まれたスタート地点の市役所前。午前9時の号砲から5分たっても走り出せないほどのランナーの多さに圧倒され、余計に気持ちが高ぶった。

 前半は博物館や商業施設が集積する八幡東区東田地区を通ってJR小倉駅(小倉北区)北側へ向かう緩やかなアップダウン。沿道にはハイタッチしようと手を差し出す子どもたちや、サークル仲間をカラオケで鼓舞するお年寄りらが詰めかけ、お祭り騒ぎだ。体重81キロの体が弾むように軽く感じる。中間点通過タイムは1時間55分。余力は十分。ここからだ!

 そう意気込んだのもつかの間、23キロ手前で足裏に痛みを感じ始めた。弾み過ぎたようだ。いかにも素人らしいレース展開に不安が募ってきた。

 後半は関門海峡沿いを北上して門司港レトロ地区(門司区)で折り返す一本道。24キロ地点で反対車線を行く特別招待選手の川内優輝選手の快走に目を奪われたが、すぐに前を向き直した。背後にはサブ4のペースメーカーが迫っていた。歯を食いしばって逃げた。

 だが、30キロ手前で脚が止まった。肉離れを起こしたかのように太ももが痛い。この間、ペースメーカーははるか先へ。「サブ4」と軽口をたたいていた自分を叱り飛ばしたくなった。

 折れかけた気持ちを救ってくれたのが、エイドステーション(休憩所)のボランティアの存在だ。手渡された飲料水を飲み干し、バナナの甘みをかみしめた。「あと10キロ!」と激励され、みっともない格好でもいいから完走しようと、自らを奮い立たせた。

 後半のコース自体は平たんだが、ゴールが遠く感じる。道の脇には座り込むランナーもいる。これほど苦しい10キロは経験したことがない。それでも、沿道からチョコレートや塩あめをもらい、最後の力を振り絞ることができた。

 ゴールの西日本総合展示場(小倉北区)へ続く最終カーブ。割れんばかりの拍手と歓声を浴びながらフィニッシュラインを越えた。4時間43分58秒。目標には遠く及ばなかったが、沿道の約27万人(主催者発表)に背中を押された経験は生涯忘れることはないと思う。

 初マラソンを4時間56分でゴールした戸畑区の廣政圭世子(ひろまさかよこ)さん(59)は、友人から手作りの月桂(げっけい)冠を贈られ、孫たちと記念撮影した。「応援の温かさに涙が出そうだった。力をもらえた」。走る側も支える側も思い出に残る大会となれば、一市民としてうれしい限りだ。

=2018/03/03付 西日本新聞朝刊=

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