カフェで長期療養!? 福岡市・天神の「サナトリウム」 人体模型、医療器具、ビーカーに飲み物 [福岡県]

ナースキャップをかぶった「トネリコ」(左)が迎える店内。医療用の照明「無影灯」(奥)が見える
ナースキャップをかぶった「トネリコ」(左)が迎える店内。医療用の照明「無影灯」(奥)が見える
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植物の根をイメージしたランプや、ナースキャップをかぶり聴診器を持ったペンギンが雰囲気を演出
植物の根をイメージしたランプや、ナースキャップをかぶり聴診器を持ったペンギンが雰囲気を演出
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ピザトースト(800円)と、ビーカーに注がれたバナナジュースの「バリウム」(700円)
ピザトースト(800円)と、ビーカーに注がれたバナナジュースの「バリウム」(700円)
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ちぇんちぇんさん。この衣装は通常営業時用で、第2次大戦中のドイツの従軍看護婦をモチーフにした制服
ちぇんちぇんさん。この衣装は通常営業時用で、第2次大戦中のドイツの従軍看護婦をモチーフにした制服
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 人体模型が窓辺に飾られたビルが、福岡市・天神にある。昭和通りの一筋北の通りにある建物の3階。気のせいか、「こっちへおいで」と誘っているような…。窓には「サナトリウム」の文字。英語で「長期的な療養を必要とする人のための施設」という意味だが、「喫茶/ギャラリー」とも書いてある。怪しげな雰囲気と人体模型に導かれ、訪ねてみた。

 薄暗い階段を上ると白い木製のドア。靴を脱いでドアを開けると、チリンチリンと鈴が鳴り、真っ白な空間が目の前に広がった。

 「サナトリウムへようこそ」。女性の声と、ナースキャップをかぶり羽が生えた、風船のような体形の猫の置物が迎えてくれた。

 スリッパを履き、室内へ。内装は白色で統一され、手術室などで使われる医療用の照明「無影灯」や人体模型、医療器具が並ぶ。

 女性は「ちぇんちぇん」さんと名乗ったが、一方で「不思議子ちゃん」という「永遠に13歳」のキャラクターだともいう。

 席に座り、メニューを見るとドリンクに「バリウム」。ますます怪しい…。

    ◆    ◆    ◆

 実はこの施設、北九州市出身の造形作家、角孝政さん(49)が、那珂川町で自身の作品などを展示している「不思議博物館」の分室だという。子どもの頃映画で見た療養施設のシーンが印象に残った角さんが「行ってみようと思ったが、周りにないので自分で造った」という、長期療養施設がコンセプトのカフェ兼ギャラリーなのだ。

 店内には角さんの造形作品や、知り合いのイラストレーターや漫画家が描いた絵が並ぶ。猫の置物「トネリコ」も角さんの作品だ。

 せっかくなので「バリウム」とピザトーストを注文した。ほどなく医療用のトレーで、ピザトーストとビーカーに入った「バリウム」が出てきた。

 一口飲むと…甘い。ビーカー入りだとバリウムそっくりだが、実はバナナジュースだ。「下剤風おやつ」と称する梅味の粒菓子が添えてあるのも芸が細かい。

 隣でパンケーキを食べていた東京の会社員、小嶋亨(あきら)さん(43)は2カ月に1回、久留米市の実家に帰省する際に必ず立ち寄るという。「空気感がいい。アングラな感じが好き」

    ◆    ◆    ◆

 長期療養施設がテーマではあるが、この日は月に1回水曜に開かれる「ホラーデイ」で、ちぇんちぇんさんが着ていたのは赤い絵の具が飛び散った白衣。「自前なんです」とにっこり。

 ホラーデイに限り、漫画家の藤紫(ふじむら)しょうさんが店に滞在し、「ホラー似顔絵」を描いてくれる。早速頼むと、右の眼球が飛び出し、頭に包丁が刺さっている仕上がりに。絵がかわいらしいため、それほどグロテスクな感じはない。が、似顔絵の私の療養期間は、かなり長そうだ。

 見送りのあいさつは「お大事に」。階段を下り、3階を見上げると、人体模型が「またおいで」とほほ笑んでいる…ように見えた。

■不思議博物館分室 喫茶/ギャラリー サナトリウム

 福岡市中央区天神3丁目。営業は正午~午後6時半。水曜は定休日だが、「ホラーデイ」などのイベント開催で営業することもある。1人1オーダー制。ちなみに、ちぇんちぇんさん以外の女性スタッフも全員が「不思議子ちゃん」で「永遠に13歳」のキャラクターだという。サナトリウム=092(791)5477。

=2018/03/06付 西日本新聞朝刊=

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