オルレ「香春」で歴史探訪 新設コース11.8キロを歩く 銅山の坑口跡や町守った大クス [福岡県]

スタートから1キロ地点の竹林は爽やかな風が心地よかった
スタートから1キロ地点の竹林は爽やかな風が心地よかった
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JR日田彦山線が走る第二金辺川橋梁(奧)
JR日田彦山線が走る第二金辺川橋梁(奧)
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土砂崩れから町を守ったと伝わる元光願寺の大クス(県指定天然記念物)
土砂崩れから町を守ったと伝わる元光願寺の大クス(県指定天然記念物)
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 香春町に11日、九州オルレ「筑豊・香春コース」(全長11・8キロ)が新設された。町は奈良時代に銅の産出地として栄え、万葉集には地名を詠んだ歌も残る。新設を前に2月下旬、九州オルレの発案者で、オルレ普及に取り組む済州オルレ日本支社長の李唯美さん(38)らに同行して、歴史ロマンあふれる町並みを歩いてみた。 (山本諒)

 好天に恵まれた2月24日、軽装にトレッキングシューズで参加した。午前11時、JR採銅所駅前を出発した。

 オルレは韓国・済州島が発祥のトレッキング。李さんによると、オルレは済州島の方言で「道から家まで続く路地」を意味し、できる限り未舗装の土の道を歩くという。日本のコースでは赤と青のリボンや、韓国の野生馬「カンセ」をモチーフにしたオブジェを目印に進む。

 15分ほど住宅地を歩くと、コースは林道にさしかかった。道の両脇を高さ約15~20メートルの竹が覆う。日の光は遮られるが、竹林を抜ける風と足から伝わる土の感触が心地よい。

 出発から上り坂を歩き続けて45分。最初のビュースポット「矢山の丘」の頂に到着した。高さは303メートル。一気に視界が開け、香春岳三ノ岳や周辺の田園が一望できた。李さんたちの笑顔もはじける。登山の達成感も相まって、私は思わず「よっしゃあ」と叫んだ。

 下山して細いあぜ道を進むと、コースの脇道に「神間歩(かみまぶ)」と呼ばれる穴を見つけた。同行した谷岡英彦副町長によると、「間歩」は坑口を意味し、かつて金や銅を産出した香春岳近くには間歩の跡が数多く確認されているという。奈良時代、宇佐神宮御神鏡鋳造の言い伝えも残るといい、町の歴史の深さを垣間見た。

 6キロ地点にたどり着くと、鉄道写真愛好家に人気の「第二金辺川橋梁」が見えてきた。休憩がてら、JR日田彦山線の列車を待って記念写真をパシャリ。香春町観光協会の桃坂豊さん(57)によると、橋は高さ約20メートルの石垣の上を、長さ約40メートルの線路が通る。「石垣作りの鉄橋(鉄道橋)は全国的にも珍しく、町のシンボル。背景には香春岳もあり、絶好の写真スポット」

 午後3時、香春岳一ノ岳のふもとにさしかかり、コースも終盤に入った。町を見おろす高台に上がる途中、ふと、高さおよそ42メートルの大クス(県指定天然記念物)が目に入った。「昔、土砂崩れが起きた際、大クスが土砂をせき止め、町を守ったという言い伝えが残るんですよ」と桃坂さん。今では災厄を免れる御利益があるとされるパワースポットになっているという。「今年は災害のない年になりますように」。静かに手を合わせた。

 スタートから5時間。ついに、ゴールのJR香春駅に到着した。コースは、山道やあぜ道、普段は立ち入らないようなけもの道まで。小学生時代に、学校の裏道に秘密基地をつくった時のような高揚感も覚えた。運動不足の身には、少しつらい道のりだったが、寄り道もしながら、ひと味違う散歩を楽しめた。

=2018/03/13付 西日本新聞朝刊=

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