古里の先人知ってほしい 講談師・神田紅さんに聞く 15日から毎週日曜「講談福岡立志伝」 「人生そのもの描く」 [福岡県]

作品づくりや古里の福岡について語る神田紅さん
作品づくりや古里の福岡について語る神田紅さん
写真を見る

 福岡市出身の講談師、神田紅さんが、県出身や県にゆかりのある人物を講談で紹介する「神田紅の声に出して読む講談福岡立志伝」が15日から毎週日曜、福岡県版に掲載される。記事は神田さんの語りをそのまま再現していく。神田さんに、紅流の作品づくりや連載に込める思いを聞いた。

 私が生まれた福岡は、多くの素晴らしい人物を輩出している。歴史を動かした人はもちろん、歴史に埋もれてしまった人もいる。不思議なことに誰もが高い志を持った人ばかり。世のため、人のため、国のためにと。福岡の土地柄なのでしょうか。その一人一人を知ってほしい。講談福岡立志伝を始めるのは、そんな思いからです。

 じゃあ、どうやってその人のことを知ればいいのでしょう。本を読んで調べるのは大変ですよね。でも語ってもらうと、自然と興味がわいてくるんじゃないでしょうか。まずはこんな人物がいたんだと知ってもらうこと。そのためには講談が一番いい。講談は、語り手がクローズアップした場面をちりばめながら、その人の人生を紹介できる。一席およそ30分。凝縮された人生を聞くことができる。

 1人分の作品をつくり上げるのにかける時間は半年ぐらい。出生地や活躍した場所に行くこともあるが、ほとんどは資料との格闘。とにかくひたすら読み込む。自分の頭の中にその人の一生を落とし込んで、そこから作品を書き始める。今残っている講談は、これはという場面だけを切り取ることが多い。実はその方が面白いし、講談はそうやって生き残ってきた。だけど私はそれが苦手。場面がいくら面白くても、ところでこの人はどういう人なのって思ってしまう。どこで生まれて最後はどうなったのかまで語りたい。私の創作講談は説明っぽいと言われるけど、いつも人生そのものを描きたいなと考えている。

 紙面では、私が語る講談をそのまま再現します。合間にたたく張り扇(おうぎ)の「トン」という音も入れます。一つや二つたたくときは息継ぎ。「トーントントン」と三つたたくときは場面が大きく変わります。試しに声に出して読んでみてください。そうすれば登場人物の気持ちが分かります。イメージが膨らみ、その場面を肌で感じることもできます。ぜひ自分なりに声に出して読んでみてください。きっと、あなただけの古里の先人が現れるはずです。

 連載で最初に取り上げるのは、筑豊の炭鉱王に嫁いだ情熱の歌人、柳原白蓮。私のあこがれの人の人生を語ります。ご期待ください。 (談)

 神田紅 福岡市出身。修猷館高卒業、早稲田大中退後、文学座の研究生を経て1979年に二代目神田山陽師に弟子入り。89年に真打ちに昇進し、古典のほか、新作の講談にも意欲的に挑戦している。現在は日本講談協会会長。

=2018/04/08付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]