貧困悪化の“防波堤”に 「困りごと相談室」高まる役割 借金や家庭不和…窓口一元化し成果 [福岡県]

 家計、就労などの悩みに一元的に応じ、生活困窮を防ぐ県自立相談支援事務所「困りごと相談室」の役割が高まっている。失業や借金、家庭不和といった複数の問題が絡んで貧困に陥る点に着目して幅広い支援で成果を出しており、相談件数は年々増加している。主な対象は生活保護の手前の人。膨らむ社会保障費の抑制も期待されている。

 「それぞれの問題をどこに相談していいか分からず、一人で解決することはできなかった」。2年前から県内のある相談室で支援を受けている団体職員の40代女性は、こう振り返る。

 7、8年前に夫が失業し、家計が苦しくなった。夫の数百万円の借金も発覚し、住宅ローンの返済が滞るようになった。思い悩んでいた頃、役場で目にした相談室のチラシに問い合わせたのがきっかけだった。

 「このままでは夫婦共倒れになる」と離婚を考えていた女性。相談室は、まず離婚問題に取り組んだ。法テラスを紹介し相談員が同席。数カ月後、離婚が成立した。家庭不和の影響で不登校気味だった中学生の長女のケアには、子持ち世帯を専門に支援する学童保育の元職員が対応した。

 ローンが残る住宅については、家計相談員が不動産業者との間に入り、売りに出す手続きを終えた。女性は「暮らしは楽ではないが、生活が好転する見通しが立った」と表情を緩める。

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 相談室は、貧困対策を自治体に義務付けた2015年施行の生活困窮者自立支援法に基づき、県が15年度に粕屋町と水巻町、久留米市、行橋市、17年度に田川市に開設。いわば生活保護に至る前の段階での「セーフティーネット」となっている。グリーンコープ生活協同組合ふくおかが運営し、各相談室には社会福祉士やファイナンシャルプランナーなど7~16人を配置。福祉事務所がない町村の住民が利用可能だ。このほか、県内の全市も独自に相談窓口を設置している。

 県の相談室の相談件数は15年度1253件、16年度1379件、17年度(2月現在)は1458件とニーズは高まっている。困りごと相談室(筑紫郡・粕屋郡)の青木康二主任相談支援員(45)は「相談者の問題に応じた支援計画をつくり、連携先とも課題を共有する。困窮状態の解消だけでなく、生活を建て直すまで支える伴走型支援がされている」と強調する。

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 生活保護を受給する手前での支援には、保護費や受給者の増加を抑えたい国の狙いもある。厚生労働省によると、15年度の全国の受給世帯は約163万世帯、保護費総額は約3・7兆円で、10年間でそれぞれ約1・6倍、約1・4倍に増加。県人口に対する受給者の割合は2・53%(17年2月)で都道府県別で5番目に高く、県政の重要課題でもある。

 15年の平均的所得の半分に満たない人の割合を示す相対的貧困率は15・6%。県保護・援護課生活困窮者自立支援係は「生活難が恥ずかしくて周囲に相談できず、事態が悪化する人は少なくない。相談室での支援を必要とする人はもっと多いはずだ」として、インターネットなどを使って周知を続ける考えだ。相談室に関する問い合わせは同係=092(643)3315。

=2018/04/19付 西日本新聞朝刊=

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