中3「道徳」の教科書に「博多山笠」 長谷川法世さん執筆 思春期の戸惑いと成長描く [福岡県]

「中学道徳3 とびだそう未来へ」を手にする長谷川法世さん
「中学道徳3 とびだそう未来へ」を手にする長谷川法世さん
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 2019年度版の中学3年生向け教科書「中学道徳3 とびだそう未来へ」(教育出版)に、「博多っ子純情」などで知られる漫画家の長谷川法世さん(72)が「博多祇園山笠」をテーマに執筆した短編文「舁(か)き縄」が掲載されている。祭りに参加する中学生の姿を描いたストーリーは、大人の入り口に立つ思春期の戸惑いと成長などが感じられ、本格的な山笠の準備が進む中、話題を呼びそうだ。

 「舁き縄」は35項目のうちの8番目。郷土を愛する態度を養うことなどが狙いで、6~7月の授業での使用が想定される。

 ドラマチックな漫画の登場人物と違い、ごく普通の中学生の研一が主人公。山笠を担ぐ時に使う舁き縄作りに参加した研一が、流(ながれ)の代表の「総務さん」から、山笠で使う「舁く」という言葉と「担ぐ」の違いについて「2人以上で物を運ぶことを『舁く』と言う」と教えられ、みんなで知恵や力を出し合うことで祭りが受け継がれてきたことを学ぶ様子が、イラストや写真とともに6ページにわたって記されている。

 作業場に現れた総務さんに他の人が素早くばんこ(縁台)を出すのを見て「しまった、僕もばんこ運びをしなきゃいけなかった」と後悔したり、総務さんに敬語を使えず焦ったりする場面もあり、礼儀を重んじる大人社会に小さな失敗を繰り返しながら踏み出していく姿がみずみずしい筆致で描かれる。

 「とにかく山笠を伝えたかった。全国向けなので博多弁も使えず、2千字という限られた分量のストーリーの中で、どんな祭りかの説明まで含めるのは大変だった」と振り返る長谷川さん。「子どもが大人の世界に自然にフッと入っていけるのが祭りの良さ。大人のドアの前に立つ少年の悩みとか、成長とか、わりと表現できたのかな」と話している。

=2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

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