水害から15年…「嘉穂劇場」改修資金集めに苦慮 5千万円必要、関係者は危機感 [福岡県]

水害から15年がたち、建物や設備の補修時期を迎えている嘉穂劇場
水害から15年がたち、建物や設備の補修時期を迎えている嘉穂劇場
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嘉穂劇場の銅板屋根。緑色の「棟」の部分がさびて茶色に変色している
嘉穂劇場の銅板屋根。緑色の「棟」の部分がさびて茶色に変色している
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雨漏りがする銅板の屋根裏。布の下に雨水をためる容器を置いてしのぐ
雨漏りがする銅板の屋根裏。布の下に雨水をためる容器を置いてしのぐ
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 2003年7月の集中豪雨で壊滅的な被害を受け、全国から支援金が寄せられ復興した飯塚市の芝居小屋「嘉穂劇場」が建物や設備の補修時期を迎え、改修資金集めに頭を痛めている。老朽化した屋根の張り替えや空調設備の修理などに少なくとも5千万円かかるが、近年は事業収益や寄付金が減少し、必要な設備投資に踏み切れない状態だ。劇場関係者は危機感を募らせ、資金確保の手だてを模索する。

 1931年開業の嘉穂劇場は、木造建築の国登録有形文化財。2003年の集中豪雨では桟敷席や升席が水に漬かり、備品も使用不能になった。4億円かかった復旧費のうち、1億3千万円は演劇関係者や芸能人、市民の支援金で賄った。残額も日本宝くじ協会などの助成金を受け、劇場側の負担はほぼなかった。

 1年がかりの復旧を終えて今年で14年。現在、特に深刻なのは当時大規模な補修をしなかった屋根だ。約1600平方メートルある屋根は銅板が交差するつなぎ部分がさびて変色。屋根そのものの取り換えが必要で、二千数百万円かかる。

 水害時に壊れ、新調した空調も更新期を迎えている。劇場を運営する認定NPO法人嘉穂劇場は「空調が壊れると客も入れられなくなる」と危機感を抱く。舞台を照らす調光機も更新期だが、価格は1台300万円からと高額だ。

 劇場は昨年4月、寄付した個人や法人が税制上の優遇措置を受けられる認定NPO法人になった。だが期待した寄付金は16年度の730万円から17年度は約280万円に激減。16年度の寄付金は経常収益4200万円の約17%に当たる額だっただけに、減収の影響は大きい。

 16年4月に熊本地震、昨年7月に九州豪雨があり、市民の募金がそちらに集まったことが影響した可能性もある。伊藤英昭理事長は「水害を経験して被災地支援の大切さがよく分かる。おおっぴらに補修や維持のための寄付を求めるのをためらう気持ちがある」と苦しい胸の内を明かす。

 劇場は、芝居やアーティスト公演など興行を中心とした運営に加え、地元企業の記念式典会場、学会の発表会、結婚式や故人をしのぶ会などの冠婚葬祭など、新しい市場の開拓にも力を入れる。

 伊藤理事長は「芝居にとらわれず、若い人にこそ多目的に使ってもらいたい。それが、寄付に限らない劇場の支援になる」と利用を呼び掛けている。

 嘉穂劇場=0948(22)0266。

=2018/06/06付 西日本新聞朝刊=

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