「福岡かるた風土記」が本に 太宰府市の岡部さん西日本新聞連載 [福岡県]

本紙福岡県版で連載した「福岡かるた風土記」を同じタイトルで一冊の本にまとめ、出版した岡部定一郎さん
本紙福岡県版で連載した「福岡かるた風土記」を同じタイトルで一冊の本にまとめ、出版した岡部定一郎さん
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 太宰府市在住の郷土史研究家岡部定一郎さん(88)=福岡市博多区出身=が2017年4月から本紙福岡県版で計19回連載した「福岡かるた風土記」が、本になった。元広告代理店勤務で県内外の多彩な催しに関わった縁から地域の伝統文化に詳しい岡部さんの、興味の対象の一つが「かるた」。「この本で郷土の魅力を知ってもらえれば幸い」と岡部さんは話している。

 17年1月、筑紫女学園高(福岡市)卒で九州大4年の鶴田紗恵さんが競技かるた女性日本一「第61期クイーン」に輝いた。連載初回で、岡部さんはその話題を紹介。1985年から3期連続クイーンの福岡高(同)出身の北野律子さん、05年以降10期連続クイーンの楠木早紀さん(大分県出身)を育んだ福岡、九州の「かるた風土の力」を説く。

 その風土を知る手掛かりとして、岡部さんは小倉百人一首の第一番に位置づけられる天智天皇作の「秋の田の/かりほの庵(いほ)の/とまをあらみ/わが衣手(ころもで)は/露にぬれつつ」を紹介する。7世紀後半、唐・新羅に攻められた百済救援のため、斉明天皇と中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)(天智天皇)は筑紫に入る。

 しかし朝倉橘広庭宮(あさくらのたちばなのひろにわのみや)(通説では現朝倉市)に移った斉明天皇は病死。「秋の田の…」は亡き母をしのび、天智天皇が現地で詠んだと伝わる。毎年秋に朝倉市で百人一首朝倉大会があり、「朝倉をかるたの聖地に」と願う市民も多いという。

 岡部さんは、小倉百人一首と大宰府の関係も解説している。古代以来、朝鮮半島・中国大陸から数多くの文化が福岡・博多にもたらされ、とりわけ都から大伴旅人(おおとものたびと)が大宰帥(だざいのそち)(大宰府長官)、山上憶良(やまのうえのおくら)が筑前国司として着任し、歌を詠んだ。

 その太宰府市で正月に催されるのが太宰府小倉百人一首競技かるた大会だ。今年の太宰府名人位戦と太宰府天満宮杯戦は過去最多の計219人が参加した。「福岡市出身の女性漫画家の作品『ちはやふる』の影響ですよ。かるた文化の浸透はいいこと」と岡部さん。

 本は西日本新聞社発行で1部千円(税抜き)。岡部さんが「大宰府政庁ゆかりの小倉百人一首の歌人たち」の題目でうんちくを傾ける「いろは塾」が21日午後1時から、太宰府市通古賀のお散歩カフェ「OPPO」である。参加無料。

=2019/02/19付 西日本新聞朝刊=

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