宗像のカフェ「一日店長」に海女、農家… 消費者舌鼓、生産の励みに 月ごとに交代 自慢の食材提供 [福岡県]

一日店長となって客と談笑する川上耕太さん(左)と藤しのぶさん(同2人目)
一日店長となって客と談笑する川上耕太さん(左)と藤しのぶさん(同2人目)
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2人がつくったカクテル「川上サンセット」とミカンのドライフルーツ
2人がつくったカクテル「川上サンセット」とミカンのドライフルーツ
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1回目の「一日店長」を務めた海女の本田藍さん(左)と林由佳理さん(リヴキッチン提供)
1回目の「一日店長」を務めた海女の本田藍さん(左)と林由佳理さん(リヴキッチン提供)
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調理場でドリンクづくりに追われる川上さんと藤さん
調理場でドリンクづくりに追われる川上さんと藤さん
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 店長は、若手の海女やミカン農家-。県内の1次産業に携わる人が月替わりでカフェの一日店長となるイベント「LiV×LiVEs」(リヴ×ライブ)が、宗像市で開かれている。「時代の転換期の1年を通して生産現場や暮らし(リブ)の生(ライブ)の声をさかなに交流しよう」と店側が1月から開催。普段交わることの少ない生産者と消費者が、カウンター越しに食と地方の将来を熱っぽく語り合っている。

 2月の日曜夜、唐津街道赤間宿の一角にある「LiV KiTCHEN(リヴキッチン)」(同市赤間4丁目)。銀色のトレーラーハウスを活用したカフェに約10人の客が集まり、イベントが始まった。

 この日の一日店長は、同市の川上農園3代目の川上耕太さん(33)と藤しのぶさん(38)姉弟。約2ヘクタールの農園で父川上直幸さん(70)らと家族経営でミカンやブルーベリー、コメなどを生産している。自家製ネーブルを使ったオリジナルカクテル「川上サンセット」や、「お通し」のミカンのドライフルーツを提供すると、「きれいで、とってもおいしい」。女性客らが満足そうに舌鼓を打った。

 客が2杯目を注文するあたりから農園の場所やミカンの栽培法などが話題となり、店内が活気づいた。

 「市内の学校給食でミカンを500玉出したりしている」(川上さん)

 「農園は3カ所で水やりが大変。水をしっかりあげないと、ミカンの玉が小さくなるんです」(藤さん)

 川上さんは22歳で就農し、農園が除草剤を使用しないため「草刈りが大変」といった苦労話などを紹介。藤さんは主婦の傍ら、幼少時代から大好きだった農園で担当している商品加工などについて説明した。2人は、普段はしないドリンクづくりに四苦八苦しながらも、交流を楽しんでいた。

   *    *

 企画したのは、カフェのオーナーでデザイナーの谷口竜平さん(38)。所属する商工会で、経営者の1人が「30代の息子に代替わりせないかんね」と話したことに接し、「新しい時代とともにいろんな仕事で代が替わるタイミングなのではないか」と感じた。

 宗像に多い1次産業に着目。下火の農業、漁業の後継者や新規参入の若手らがどんな思いで生産現場にいるのだろう-。「舞台装置」として、生産者が自慢の食材を提供できるカフェの一日店長にたどり着いた。

 1月は県外から宗像市に移住し、海女をしている地域おこし協力隊の30代女性2人が店長を務めた。漁師町の同市鐘崎の郷土料理「のうさば」を出すなどして盛り上がったという。

 川上農園の川上さんは「ドライフルーツなど、『おいしい』といった反応を直接もらえて刺激になった」と満足そうに語った。藤さんも「農業は日頃、市民とあまり関わりがない仕事。実際に消費者が喜んでいる姿を見て明日からまた頑張れます」と笑顔を見せた。

 今後の一日店長は、3月が古賀市のトマト農家、4月が宗像市鐘崎の漁師を予定。漁師の妻や、代を譲る側の親世代も検討中という。谷口さんは「双方が触れ合って何か新しいアイデアや楽しいものが生まれたら面白い。1年間、いろんな生産現場の人に登場してもらいたい」と意気込む。イベントは月1回で、詳細はカフェのホームページ=https://livkitchen.jp/

=2019/03/03付 西日本新聞朝刊=

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