博多駅周辺、車いすで多目的トイレを調査 [福岡県]

JR博多駅近くのビルで多目的トイレをチェックするNPO関係者たち。ここはU字型の手すりをはね上げて車いすを横付けし、L字型の手すりにつかまりながら便器に移動できる構造だった
JR博多駅近くのビルで多目的トイレをチェックするNPO関係者たち。ここはU字型の手すりをはね上げて車いすを横付けし、L字型の手すりにつかまりながら便器に移動できる構造だった
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便器の両側にある手すりが水平方向に開く多目的トイレ。車いすを横付けできない
便器の両側にある手すりが水平方向に開く多目的トイレ。車いすを横付けできない
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 「車いすを便座に横付けできない」「通路が狭い」…。多目的トイレは増えてきたが、内装や広さは千差万別で使いやすさも異なる。県内をはじめ全国のNPO関係者が5月中旬に行ったJR博多駅(福岡市博多区)周辺の調査に同行し、車いす利用者にとって使いやすいトイレについて考えた。

 駅近くのビルに入り、エレベーターで地下に移動した。まず気になったのはトイレ前の通路。狭くて直角に曲がり、脇にはごみ箱もある。「通りにくいですね」。調査に同行した車いす利用者の古賀稔章さん(60)=福岡市=がつぶやく。利用者がぶつかったのか、ごみ箱がへこんでいた。

 使用中だったため待っていると、若い男性が普通に出てきた。トイレ内にはバナナの皮…。「中で食べたのかな」「通常のトイレを使えばいいのに」と思ったが、トイレ情報を発信するNPO法人「チェック」(東京)の金子健二代表理事(37)は「見た目だけでは分かりません」。人工肛門の人や、心と体の性が一致しない性同一性障害者が使う場合もあるという。

 別のビルへ行くと、トイレを見た金子さんがため息をついた。「これは最も使いにくい構造ですね」。便座の左右にある手すりが水平方向に開くため、車いすを横付けできない。「よほど障害が軽い人じゃないと、車いすから便座へ自力で移れない」と古賀さん。

 ボタンが遠い。洗面台が出っ張りすぎ。手すりが高い…。古賀さんにとって「満点」のトイレはなかなか見当たらない。「外出時に使うトイレはいつも同じ。新しい場所はちょっとした冒険になるんですよ」と苦笑いを浮かべた。

   ◇   ◇

 ただ、トイレの使いやすさは人によって異なる。障害の程度、利き手や車いすの大きさが違うからだ。

 車いす利用者などに外出・旅行サービスを提供するNPO法人「あすも特注旅行班」(福岡市)の大関純平さん(30)は「一般論」と前置きした上で「十分な広さがあり、壁側にL字の手すり、逆側にU字ではね上げ式の手すりがあると使いやすい」と話す。

 人が集まる場所では、順番待ちになりやすいのも悩みの種。通常のトイレで問題ない人は、安易な使用は控えたい。金子さんは「多くの機能を詰め込むのではなく、機能を分散させた複数のトイレを設けることが重要」と指摘する。

 何らかの「ユニバーサルデザイン」はないのか。福岡市保健福祉局政策推進課に聞くと「特定のデザインがあるわけではありません」。市福祉のまちづくり条例では、車いすの幅が最大70センチであることから、出入り口の幅を80センチ以上と規定するが、細かな仕様は定めていないという。

 「TOTO」(北九州市)にも尋ねると、約160ページもあるカタログの中に盛り込んでいた。便座に対して対角側に出入り口を設置するとアプローチしやすいことや、引き戸が最適であると書かれている。

 ただ、広報担当者は「どういうトイレを設置するかは、施設のオーナーや設計者などの判断になってくる」。多目的トイレから、設置者側の「意識」が見て取れるのかもしれない。

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 調査は、公益社団法人日本フィランソロピー協会(東京)とアメリカン・エキスプレス財団(米国)がNPOのリーダーを育てるため福岡市で開いた研修の一環。約30人が複数のグループに分かれ、25カ所ほどを調べた。調査内容は「チェック」が運営するトイレ情報のウェブサイト「チェック ア トイレット」=http://www.checkatoilet.com/=に追加予定。

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