体験型の博多観光、行政がプラン作り 海外客、富裕層ターゲット 歴史、文化…本物の魅力伝える [福岡県]

博多人形の絵付け体験で、絵の具の作り方を指導する博多人形師の田中勇気さん(左手前)
博多人形の絵付け体験で、絵の具の作り方を指導する博多人形師の田中勇気さん(左手前)
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 福岡市の博多部で海外客や富裕層をターゲットに伝統工芸や歴史探訪などを売り物にした体験型観光プラン作りが行政主導で進められている。来年の博多織777年や2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会などを見据え、ディープな博多の文化体験を目玉に観光客を呼び込む狙い。博多祇園山笠など祭り以外の魅力をどうアピールするか。11月下旬、同市博多区であった県の体験プログラムのモニターツアーに同行した。

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 「顔はこんな感じかな」「絵の具をのばすのが難しい」。同区上川端町の雑居ビルにある博多人形師、田中勇気さんの工房であった人形の絵付け体験。白塗りされた芸妓(げいぎ)人形に一心に筆を滑らせるツアーモニターたちの表情は、まるで童心に帰ったようだった。

 アクリル絵の具などの一般的な絵付け体験とは一線を画し、本物の人形師が使う粉状の顔料を、熱したニカワで溶くところから始まる本格的内容。塗りにくく色ムラも出やすいが、熟練の人形師に直接アドバイスされながらの作業で得られる達成感は格別だ。2時間近くかけて完成した“マイ博多人形”。「この子はいい表情してますね」と田中さんにほめられると、参加者から笑みがこぼれた。

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 県観光政策課によると、県の体験プログラム開発事業の一環で、今年のテーマは「博多の伝統文化を体験する旅」。年度内に民間ツアーのモデルとなるプランを完成させる予定という。

 この日のモニターツアーには、旅行業者や通訳ガイド、地元在住の外国人も参加。絵付け体験以外にも、ベテラン人形師の講話を聴いたり、博多織の手織り職人と交流したり。さらには博多芸妓の踊りも観賞するなど、まさに“博多文化のフルコース”。

 同課の田中隼人係長は「特にラグビーW杯は試合間隔が長く、滞在も長期化しがちで、その時間をどう生かすかは重要テーマ。博多にはいい素材があり、磨けば可能性はある」と期待感をにじませた。

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 博多を舞台としたツアー作りは福岡市でも進行中。高島宗一郎市長が5日に打ち上げた「博多旧市街プロジェクト」の一環で、大陸との交流拠点として栄えた街の歴史をクローズアップし、その名残をたどって古刹(こさつ)を巡るプランを描く。市地域観光推進課の黒瀬圭課長は「来日前の外国人客が海外サイトで予約するイメージ。来年度から民間の旅行商品として販売できるところまで持っていく」。

 県・市のプラン作りの共通点は、博多の歴史や伝統文化を「物語」として体感できる旅を目指していること。県のプログラム作りを委託された地域づくりコンサルタント「Eまちラボ」の亀井敏裕理事は、百貨店の上得意客向けの旅を企画した経験から「良い物と納得すれば、旅先で高価な工芸品をポンと買う客も多い」と語り、価値が伝われば顧客はお金を払うことをいとわないとみる。

 「食べ物はうまいが、見る所は少ない」と言われがちな博多観光。現状を変える鍵は「本物の魅力」がうまく伝わるかにありそうだ。

=2017/12/17付 西日本新聞朝刊=

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