脳梗塞克服模型作り15カ月 小さな喜び重ね、帆船完成 鹿児島の義山さん 福岡市の息子に贈る [福岡県]

脳梗塞の後遺症を克服し1年3カ月かけて帆船模型を完成させた義山宏文さん
脳梗塞の後遺症を克服し1年3カ月かけて帆船模型を完成させた義山宏文さん
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 鹿児島市の元中学校長、義山宏文さん(80)が、脳梗塞の後遺症を克服し、1年3カ月かけて帆船模型を完成させた。福岡市在住の長男弘男さん(53)の新築祝いにと、リハビリを兼ねて毎日少しずつ作業を重ねた。右腕に残っていたまひなども回復し、義山さんは「気の遠くなるような作業だったが、作り上げられてうれしい」と喜ぶ。

 義山さんは中学校長退職後、大学非常勤講師や公民館長などを務めてきた。2004年に妻を亡くし1人暮らしをしていた15年6月、脳梗塞を患って入院。投薬治療で、約2カ月後に退院した。

 その後、週1回通院してリハビリ。ようやく手の動きが回復してきた16年10月、次男の春夫さん(49)が「リハビリになり、目標が持てるものを」と船の模型キットを買ってきた。社会科教諭で工作とはほとんど縁がなく、制作には1年ぐらいかかると言われたが、「達成感を味わえるかも」と挑戦することにした。

 模型は幕末の艦船「咸臨(かんりん)丸」。サイズは全長82センチ、幅20・3センチ、高さ48・7センチで実物の75分の1。大砲12門や3本マストの帆などが精巧に再現される。木材を水でぬらして曲げ、乾燥させ接着、ロープの先端をカットして張るなど繊細な作業をこなした。

 元日に2人の子どもが来た自宅で、咸臨丸に日の丸の旗を付けて模型は完成し、3人で乾杯したという。春夫さんは「熱中して取り組んでいる姿がうれしかった」と語る。義山さんは「年を取ると夢や希望はそんなにない。1日がかりで小さな部分を作りあげた小さな喜びの積み重ねがうれしい」と笑う。既に次回作に取りかかっていて「前回の経験を生かしてもっとうまく作りたい」と意気込んでいる。

=2018/01/12付 西日本新聞朝刊=

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