三角形折った鶴に思い込め 小学校校長の馬塲肇子さん [福岡県]

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 校長として卒業式で児童に手渡す卒業証書に、仕事の合間を縫って折った鶴を添えている。よく見ると片方の羽根が短い。使うのは正方形ではなく三角形の紙。「できそうもないことに直面した時に、『できるかもしれない』と思う人になってほしい」。そんなメッセージを込めた小さな折り鶴だ。

 福岡県の春日東小校長、馬塲肇子(ちょうこ)さん(60)は子どもの頃から「知らなかったことを授業で知り、できなかった問題が解けることが面白かった」という勉強好き。「学びの楽しさを伝える仕事をしたい」と朝倉高から福岡教育大に進んだ。

 大学では数学を専攻。高校の数学教諭を目指したが、小学校での教育実習で「数学の基礎の基礎である算数を教える大切さ」を感じて方向を変えた。

 三角形の紙で折り鶴ができる-。それを知ったのは大学時代、数学の「位相幾何学」の授業だった。平面にあるものは、どんな平面にも移せるという説明の中で教授が紹介した。

 「まず鶴の折り目が残った正方形のゴム板をイメージする。ゴム板は伸びるので、三つの角をつまんでびよーんと伸ばすと、折り目が残ったまま三角形になる。それで折るという理屈。面白くて驚いた」

 変化を数式で表現しようとしたが難しくて断念。しかし実際にやってみたら案外、簡単にできた。教員になって児童に見せると、みんな驚きの表情を浮かべた。中には自分で考えて作り上げた子どもも。「これは使える」。2012年度に校長になってから毎年、卒業証書に添える。

 校長を務める春日市の春日東小の卒業式は3月16日。仕事の合間に少しずつ鶴を仕上げている。本年度で退職するため、卒業生に鶴を折るのは今回が最後だ。故郷は昨年、豪雨に襲われ、まだ完全な平穏は取り戻せていない。

 教諭としての信条は「平等と公平」。さまざまな思いが去来する最後の折り鶴。「いつもと同じように折り、同じように卒業生を送り出します」

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

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