「土俵騒動」で注目の救命措置講習を受講 まず助けを呼ぶ、胸骨圧迫最優先 [福岡県]

参加者の1人がAEDを準備する間も、もう1人が胸骨圧迫を続ける必要がある
参加者の1人がAEDを準備する間も、もう1人が胸骨圧迫を続ける必要がある
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 京都府舞鶴市で開催された大相撲春巡業で、倒れた市長を助けようとした女性に土俵から下りるよう促す場内放送が問題になった。一方で、女性看護師らの手際よい救命措置にも注目が集まった。倒れた人を目にしたとき、私たちができることは何か。気をつけるべき点は-。福岡市消防局が管内の消防署で市民向けに開いている救命講習の現場を訪ねた。

 東消防署(東区千早)で開かれる90分間の救命入門コース。「倒れている人がいた場合、落下物など周囲に危険があるかもしれない。自分の命が大事、安全を確認してから近づく」。講師役の救急隊員平野温さん(25)が強調した。その後、意識があるかを確認する。「大丈夫ですか」と両肩をたたく。反応がない場合はすぐに大声で他の人の助けを呼ぶ。できれば複数の人に。最優先は119番通報を、その次に自動体外式除細動器(AED)を持ってくるよう頼む。

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 次は胸と腹部の上下動を見て、呼吸しているかどうかを確認する。呼吸がない場合や、正常な呼吸か判断に迷う場合はすぐに胸骨圧迫(心臓マッサージ)をする。胸の真ん中に片方の手のひらの付け根をあて、一方の手のひらを重ねて組んで、真上から押し込む。強く、速く、絶え間なく。5センチ押し込んで元に戻すことを繰り返す。(子どもにする場合は強さややり方が違う)。

 1分間に100~120回の速さで、AEDの準備中にも続けること、疲れた時の交代も考えると、最初に助けを呼んでマンパワーを確保することが大事だ。交代時などの中断は10秒以内に。

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 「人工呼吸は必要か」。参加者の質問に平野さんは「可能ならした方がいいが、胸骨圧迫に比べると難しい。一般の方には胸骨圧迫を続けることを最優先してほしい」と説明した。

 講座はAED操作までの動作を繰り返しながら覚える実践形式だった。「(土俵のように)周りに人がいる中に飛び込んでやるのは勇気がいると思う」と同市の女性(37)。講習を受け「実際にやるのは難しいと思うけど、手順を知るだけでも違う。習ったことの何割かでも救命につながるのでは。復習すればもっとできるかも」と話した。

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 市消防局によると、心肺停止からの時間が長くなるほど救命率は下がるという。例えば、3分たつと救命率は25%を切るが、居合わせた人が救命措置をすれば、50%近くまで上がるとされる。消防局によると、市民が善意で実施した応急手当てについては、結果の責任を法的に問われることはない。平野さんは「胸骨圧迫で骨折させることもあるが、骨は折れても治る。ためらわずに命を救って」と言い切る。

 消防局によると、毎年2万人以上が救命講習を受けており、「入門コースを受けるだけでも救命に役立つ大事なことが学べる。講習を毎年定期的に受けてほしい」と呼び掛けている。問い合わせは救急課市民啓発係=092(791)7151。

=2018/04/12付 西日本新聞朝刊=

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