博多の伝統文化振興に功績 2団体1個人に「町人文化勲章」 [福岡県]

石村萬盛堂本店の店頭で受章を喜ぶ石村〓悟会長
石村萬盛堂本店の店頭で受章を喜ぶ石村〓悟会長
写真を見る
博多を語る会のメンバー
博多を語る会のメンバー
写真を見る
年間通して大衆演劇のステージが楽しめる博多新劇座
年間通して大衆演劇のステージが楽しめる博多新劇座
写真を見る
紅あきらさん
紅あきらさん
写真を見る

 福岡・博多の伝統文化の振興に功績のあった団体・個人を顕彰する博多町人文化連盟(西島雅幸理事長)の「第44回博多町人文化勲章」。今年の受章者は、老舗菓子メーカー「石村萬盛堂」と市民グループ「博多を語る会」、大衆演劇専門の劇場「博多新劇座」を営む紅(くれない)あきらさん(57)の2団体と1個人。6月8日に福岡市・天神の天神スカイホールで開かれる授章式「もらって頂く会」を前に、受章者たちの喜びの声を聞いた。

■「進取の精神」銘菓生む 石村萬盛堂

 「ありがたい。でも、もっと早くもらえるかと思っていた」。老舗菓子メーカー「石村萬盛堂」の3代目、石村〓悟会長(69)はいたずらっぽく笑い、受章を喜んだ。

 創業113年、博多の菓子文化を守り続けた功績が認められた栄冠だが、守りだけでない「進取の精神」こそ社の真骨頂という。

 「鶴乃子」は20世紀初頭、鶏卵そうめん生産で生じる卵白を活用しようと、西洋のマシュマロの技術を取り入れて生まれたという。石村会長自身も1978年にホワイトデーの原型のマシュマロデーキャンペーンを考案するなど、同社が業界に与えた影響は大きい。

 昨年7月、38年務めた社長を長男に譲り、今は大所高所から経営をみる。本社前は博多祇園山笠のフィナーレ・追い山のゴール。「これからも博多らしい菓子屋でありたい」。そう語る横顔に博多っ子の矜持がのぞいた。

■かるたで後継者を育成 博多を語る会

 「博多のために貢献したという功績もないのに。身に余る光栄です」。博多を語る会代表世話人の保坂晃孝さん(75)は控えめに受章を喜ぶ。

 発足は1950年。戦災で博多の語り部がいなくなることを憂えて、郷土史家の橋詰武生さん、日本画家の祝部至善さんら博多を代表する知識人が参集。発足から70年近くなっても15人前後の会員が月に1回の例会でざっくばらんに語り合い、お互いの知識を深めるスタイルは変わらない。

 2011年、博多のしきたりや暮らしを伝えたいと「博多かるた」を作製した。現在まで4版を重ね累計7200部。「博多弁 バイとタイが 耳につく」といった札は、博多弁と博多文化を分かりやすく学べると好評だ。発刊をきっかけに博多小にかるたクラブが発足。子ども向けのかるた教室も開催している。地道な継承活動に光が当たった。

■「芸どころ」の孤塁守る 博多新劇座の紅あきらさん

 「ようやく認められたのかな」。福岡市博多区堅粕に九州屈指の大衆演劇専門劇場「博多新劇座」を構えて20年。「芸どころ博多」の孤塁を守り続けた社長の紅あきらさん(57)は受章の知らせに笑顔をみせた。

 初舞台はウクレレを持って歌った2、3歳のころ。売れっ子座長だった父の影響でこの世界に入り、27歳で独立。1998年「自分なりに勝負をかけた」と巨額の借金を背負い、“自分の小屋”を築いた。

 全国12の劇団が月替わりで興行を打ち、2千円という格安料金。200席の場内は連日、老若のファンでにぎわうが、自らは劇場運営はスタッフに任せ、全国を回る旅芸人暮らしを崩さない。得意な演目は「国定忠治」や「座頭市」など男臭い芝居。「自分が作り上げた“男”を演じる時が一番幸せ。受章を機に、少しでも多くの人が劇場に来てくれれば」。

※〓は「にんべん」に「善」

=2018/05/23付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]