原発事故で故郷失うな 福島から避難の岩渕さんが粕屋町で講演 自殺者や突然死7年後の今でも [福岡県]

「原発は本当に必要ですか」と問いかけた岩渕馨さん
「原発は本当に必要ですか」と問いかけた岩渕馨さん
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 福島第1原発事故の影響などを学習する講演会が粕屋町のサンレイクかすやであり、福島原発かながわ訴訟原告団事務局長で粕屋町に住む岩渕馨さん(47)が「事故から7年、避難者たちは今」と題して講演した。

 福島県浪江町出身の岩渕さんは事故後、父親の出身地の横浜市に避難。現在は仕事の都合で粕屋町に住んでいる。岩渕さんは9日の講演で、事故直後に放射性物質の拡散が不安になって逃げようとしたが、放射性物質がどう拡散するかなどが分からず、逃げる方角に迷った経験から「風向きなどを知ることが重要だ」と語った。

 プルトニウムが福島県の広範囲で検出され、家業の不動産業は廃業。母親から「いつまで避難すれば良いのか」と聞かれて困った話や、自殺者や突然死が今でも続いていると話し「これが故郷を失うということ」と強調した。

 福岡県に住んで3年になる岩渕さんは、福岡を「美しく、食べ物がおいしく、誇るべき歴史や偉人を輩出した土地だ」とした上で、「この土地を後世に引き継ぐことが私たちの責務ならば、本当に原発は必要だろうか」と問いかけた。

 また、岩渕さんは内部被ばくや風評被害などの問題に触れ「放射線量が少ないから影響ないと考えるのは科学的ではない。避けるべきは避けることが重要だ」と指摘した。

 講演会後、岩渕さんは「原発事故が起これば故郷が失われる。こんな目に遭うのは私たちが最後であってほしい」と話した。

 講演会は「『原発なくそう!九州玄海訴訟』かすや原告の会」が開いたドキュメンタリー「終(つい)の住処(すみか)を奪われて 福島原発被害東京訴訟」上映会に合わせて開かれた。会場には福島県と福岡県の同じ縮尺の地図や写真などが張り出され、訪れた人たちは興味深そうに見入っていた。

=2018/06/22付 西日本新聞朝刊=

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