圏外でも登山道を表示、最大手アプリ「ヤマップ」開発した男性 スマホ画面の青い点からひらめき [福岡県]

登山アプリ「ヤマップ」を開発した春山慶彦さん
登山アプリ「ヤマップ」を開発した春山慶彦さん
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 電波が届かない「圏外」の山中でも、スマートフォンに現在地や登山道が表示される。山小屋や水場の位置も示され、山登りの強い味方になってくれる。登山アプリ「ヤマップ」。リリースから5年でダウンロード数は90万件を超え、最大手の登山アプリに成長した。開発したのは、春山慶彦さん(37)=福岡市中央区。

 登山ブームで山岳遭難が年々増えており、「テクノロジーで遭難や道迷いをなくしたい」と意気込む。

 アプリは基本的に無料で使え、歩いたルートや距離、写真、感想を記録でき、ほかの利用者と共有する会員制交流サイト(SNS)の機能を併せ持つ。「ザイルが必要」「ミヤマキリシマがきれい」-。SNSではさまざまな情報が共有されており、「事故防止につながり、山の楽しみ方も広がる」と狙いを語る。

 登る山の専用地図を事前にスマホにダウンロードして使う仕組みで、これまでに4千以上の山の地図を制作。「登山を通じて自分たちの暮らしがどういう自然風土に育まれているか知ってほしい」と、地元の人しか知らないような小さな山もカバーしている。

 アプリ開発の原体験は大学時代にあった。自転車で屋久島(鹿児島県)を旅行中、風呂を借りた民宿の主人から「うちで1カ月ほど働かないか」と誘われた。民宿を手伝いながら、素潜りや魚の裁き方、植物の見分け方などを教わった。「身近にこんな美しい世界があったのか」と自然の魅力に引き込まれ、登山を始めるきっかけにもなった。

 転機は東京の旅行会社を退職して福岡市で編集関係の事業を始めていた7年前。九重連山(大分県)に登った時だった。スマホで地図アプリを開いたが、圏外で地図データが取得できず画面は真っ白。ただ、現在地を示す青い点はあった。その瞬間、「電撃が走った」。衛星利用測位システム(GPS)を使う位置情報は圏外でも拾える。事前に地図データをスマホに保存しておけば、スマホが登山に使えるとひらめいた。

 春日市出身。「地方でも本気でやれば成功できるモデルをつくりたい」と福岡市に本社を構える。国内の登山人口は約700万人。まだまだ利用者を増やせる手応えを感じている。

 好きな山は糸島市の二丈岳(711メートル)で月1回は登る。沢のせせらぎや、玄界灘を一望できる絶景が心を癒やしてくれる。「何も考えずに登ります。無心になれるのが山歩きの一つの楽しみですから」

=2018/07/11付 西日本新聞朝刊=

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