「結婚しました」元暴走族の少年、頭を下げる姿に目頭が熱く 保護司20年続ける男性 [福岡県]

芹野正通さん
芹野正通さん
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 最初は断った。でも地元の自治会長に「2年でいいから」と何度も頼まれ、活動内容も知らないまま保護司になった。福岡市早良保護区保護司会会長の芹野正通さん(65)は、そう語る。

 罪を犯して刑務所に入り、仮釈放となった人などを対象とする保護観察。その対象者と毎月2回会って、自立をサポートするのが保護司の役割だ。

 最初に担当したのは、暴走族の総長をしていた18歳の少年だった。目つきが鋭く、威圧感のある雰囲気。受け答えも素っ気なかった。心掛けたのは「普通の父が寄り添うような対応」。バイクなど共通の話題を探し、転倒したときの失敗談などを語った。

 1年後には、男性は自らの家庭環境など心の内を語ってくれるようになった。一般的な保護観察はそこで解除できるが、制度に詳しくなかったため、もう1年続けた。「悪かった」。解除の時に知識不足をわびると「解除の時期は知ってました。でも、会うのは嫌じゃなかったので」と応じてくれた。

 それから半年後、急に自宅を訪ねてきた。女性と赤ん坊を連れ「結婚しました。その節はお世話になりました」。頭を下げる姿に目頭が熱くなった。「安心したよ。困ったらおいで」。そう言うのが精いっぱいだった。保護司の醍醐味(だいごみ)を知った瞬間だった。

 自営業の傍ら、多い時には7人を担当した。最高年齢は70代。面接に現れずに連絡が付かなくなる人や、保護観察中に再び逮捕された人もいた。

 保護司としての難しさも感じるが、犯罪を重ねる温床には刑務所に入る前と変わらない人間関係があると考える。「8割の一般的な人がいて、残り2割は犯罪から抜け出せずにいる」。最初の犯罪は自発的ではなく、周りにそそのかされたのかもしれない。だからこそ「2割」にとどまる関係を崩し「8割」につなぐ必要があると感じている。

 注目するのは地域の力だ。バレーボール大会など地域行事に出所者を参加させる中で、新たな人間関係を築くことができるのではないかと考える。「保護司が目立たないように面接するだけでは限界がある。地域の協力を得て、更生につなげないと」

 全国の保護司は、定員の5万2500人に対し約4万8千人。76歳の定年を迎え、毎年多くの保護司が去っていく。保護司になり20年。活動に生きがいを感じるようになり、期間は当初依頼された10倍になった。今年3月からは、福岡市早良区の早良保護区保護司会会長も担う。活動を拡大、継続させるためにも、新たな保護司の加入を呼び掛けている。

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 加入などの問い合わせは早良保護区保護司会=092(803)1016(平日午前10時~午後4時)。

=2018/08/20付 西日本新聞朝刊=

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