娘の言葉が支えに…名物うどん店が再出発 九州豪雨で被災 朝倉市 [福岡県]

「大國屋」の再開を決意した内藤國彦さん
「大國屋」の再開を決意した内藤國彦さん
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 昨年7月の九州豪雨で店舗が被災した手打ちうどん・そば店「大國屋(だいこくや)」(福岡県朝倉市)が5日、市内の別の地で再出発する。ファンが多い名物店だったが、経営する内藤國彦さん(63)は「年も年だし、もうやめようか」と心が折れかけた時期もあった。しかし結婚したばかりの長女(27)が言った「子どもが生まれたらおじいちゃんの店でうどんを食べさせたい」との言葉に勇気をもらい、再起へこぎ着けた。

 被災前の大國屋は朝倉市山田の国道386号沿いで32年間営業。国史跡「三連水車」に近く、県外のファンも多かった。あの日、あまりの大雨に異常を感じ、従業員を帰宅させた後だった。店先の国道がみるみる泥水で覆われ、濁流が店内に押し寄せた。柱に必死につかまり命はながらえたが、うどん・そばを調理する道具も客室も水没、土砂に埋もれた。従業員約15人は解雇。再起には多額の借金が必要で、店をやめることも考えた。

 そんな中、東京で看護師として働く長女が6月に結婚。父のうどんを食べて育った思い出を忘れずに「わが子も店に連れて来たい」と言ってくれた。「本当に励みになった」(内藤さん)

 ファンからも「再出発はいつ」との声が相次ぎ、新しい店探しが本格化。近隣の14カ所を巡った末、朝倉の城下町、秋月に近い国道322号沿い(同市千手)の空き店舗に決めた。約70人が座れ、駐車場が広い。道路を往来する車の数は以前より少ないが、「大國屋の味で勝負し、店に立ち寄らせたい」と意気込む。

 以前の従業員たちも再出発を待ってくれていた。2人が再び勤める予定で、あと2人が時折、手伝いに入るという。人手はまだ足りず、調理器具も全て一からそろえての船出だが、内藤さんは「なめらかで、やわらかいが、芯はある。そんなうどんにこだわってきた。再びお客さんに食べてもらいたい」と笑顔を見せた。5日午前10時から開店。大國屋=0946(25)0661。

=2018/10/03付 西日本新聞朝刊=

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