新宮町の「ふるさと納税」快調 過去最高額に [福岡県]

ふるさと納税についての問い合わせに応じる新宮町総務課の職員たち。手前は、返礼品などを紹介したチラシ
ふるさと納税についての問い合わせに応じる新宮町総務課の職員たち。手前は、返礼品などを紹介したチラシ
写真を見る

 新宮町のふるさと納税が快調だ。寄付額の増加を受け、町は3年連続で一般会計当初予算の関連事業費を増額した。返礼品に伴うふるさと納税制度の導入は本年度で3年目だが、12月現在で昨年度を上回る約11億5千万円が集まっているという。12月定例町議会で12日、関連事業費2億8千万円を増額する補正予算案が可決されたのに続き、町は来年1月に予定する臨時議会でも、数億円規模を増額補正する予算案を提案したいとしている。

 新宮町が返礼品を伴うふるさと納税を本格的に始めたのは、2016年7月。「他の自治体に寄付した町民の住民税控除額分をできるだけ取り戻す」のが目的で、初めは寄付額見込みを控えめに2千万円と設定していた。ところが-。

 ふるさと納税専用サイトに登録し返礼品を紹介、クレジットカード決済も導入する工夫を施すと、瞬く間に寄付者が増加していったという。この年の12月の定例会では寄付額を10倍の2億円に引き上げ、翌17年1月の臨時会でも2億円余りを追加。寄付金は計5億4千万円に膨れ上がった。

 2年目も当初は寄付額3億円を見込んでいたが、引き続き好調をキープし、返礼品の調達や発送費、事業委託料が不足したことから12月に予算を増額補正、最終的に前年度の2倍に当たる約10億6千万円が集まった。そして、本年度も当初6億円の予定が11億円(約8万件)を突破し、過去最高額を更新中というわけだ。

 寄付金から町は16年度に2億円、17年度に4億円をふるさと応援基金として積み立てており、このうち17年度は寄付者の要望に沿って、新設中学校建設事業(6千万円)▽子供医療対策事業(5千万円)▽学童保育事業(2千万円)-などに充てた。

    ◇      ◇

■電話丁寧、民間顔負け 返礼品開発でも工夫 町側、「新宮ファン」開拓狙う

 来年の住民税控除などに反映されるため、12月は新宮町でも寄付額の約4割が集中する繁忙期。返礼品の工夫など自治体間のふるさと納税の「囲い込み競争」に後れを取るまいと、担当の町職員たちは連日残業しながら全国の「新宮ファン」開拓を狙う。

 この時期、ふるさと納税の問い合わせで同町総務課の電話は鳴りっぱなし。さながら企業のコールセンターの様相だ。

 「こんにちは○○さん。昨年は寄付していただき、ありがとうございました。メッセージもうれしかったです」。職員たちは受話器を耳と肩に挟みつつ、手はパソコンで顧客情報を探る。相手を名前で呼ぶことを忘れない。寄付経験者の質問には簡潔、かつ的確に回答し、逆に初心者には丁寧に説明。ネットに慣れていない高齢者に対しては、返礼品の一覧表などを郵送している。

 今月、ふるさと納税を巡る「偽サイト」の存在がメディアで報道されてからは、心配からか町に確認を求める電話も増えた。「安心してもらい、これからも町のファンになっていただけるよう、心に残る対応を心掛けています」(職員)

 返礼品は全て地元新宮産、もしくは町内の事業所で加工、販売している商品。人気のベスト3は、イチゴのあまおう▽もつ鍋▽めんたいこ-の順という。

 町内で観光を担う「おもてなし協会」も、地元産品の商品開発面で貢献している。例えば、ミカン農家とめんたいこ製造業者を結んでオリジナルのコラボ商品を作ったり、魚肉加工業に商品開発を促したり…。さらにネット戦略にも注力しており、担当者は「購買意欲をそそる写真や文章、販売開始のタイミングなどいろいろと工夫しているが、詳しくは秘密です」。

 ふるさと納税の導入は町の自主財源を増やすだけにとどまらず、地元中小企業の雇用や設備投資も刺激するなど、広く波及効果が出ているようだ。

=2018/12/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]