日韓の文化共生、唐津から 交流史研究家の嶋村さん出版 歴史の光と影見つめ [福岡県]

「唐津の中の朝鮮文化」を出版した嶋村初吉さん(右)と三岳出版社の三岳晉さん
「唐津の中の朝鮮文化」を出版した嶋村初吉さん(右)と三岳出版社の三岳晉さん
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 歴史の光と影を足元から見つめよう-。筑紫野市の日韓交流史研究家の嶋村初吉さん(65)が、互いの国への理解を深め文化共生を願って「唐津の中の朝鮮文化」を出版した。佐賀県唐津市を舞台に朝鮮半島との歴史的なかかわりを多彩に取り上げ、海を越え活発な往来があった北部九州全体へと視野を広げる。

 同書は、唐津市出身で福岡市西区在住の三岳晉さん(74)が代表を務める三岳出版社が発行した。三岳さんは65歳で会社役員を退職後、唐津の歴史的な建造物を保全活用する活動に参加。「故郷の豊かな歴史文化を広くアピールしたい」と思うようになり、6年前に出版社を立ち上げた。

 唐津には唐津焼など朝鮮半島がルーツの伝統文化が数多く受け継がれているのに着目し、「九州のなかの朝鮮」などの著書がある嶋村さんに朝鮮半島との交流史の執筆を依頼した。

 水田稲作の技術が唐津を含む玄界灘沿岸地域にもたらされた古代から始まり、朝鮮半島の古代国家・百済の王「武寧王(ぶねいおう)」が生まれたと伝わる唐津市の離島、加唐島で現在も行われている日韓交流も紹介する。

 ただ、両国の歴史には光と影がある。中世になると朝鮮や中国の沿岸で略奪行為をした倭寇(わこう)が出現。さらに唐津市には豊臣秀吉の朝鮮出兵の拠点となった名護屋城が築かれた。秀吉軍に拉致された朝鮮半島の人々を帰国させる目的を当初は担っていた朝鮮通信使についても詳しく記す。

 時代が下り、東京駅を設計した唐津出身の建築家辰野金吾が、ソウルに残る旧朝鮮銀行の建築に携わった話題も取り上げる。嶋村さんは「負の歴史を見つめ、反省するところはしていくことで多文化共生につながる」と話していた。1404円(税込み)。

=2019/01/09付 西日本新聞朝刊=

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