楠田・太宰府市長就任1年 混迷は収束課題山積 交通、観光に財源づくり「腕の見せどころ」 [福岡県]

「市長と語る会」であいさつする楠田大蔵市長=1月26日夜、太宰府市芝原地区の公民館
「市長と語る会」であいさつする楠田大蔵市長=1月26日夜、太宰府市芝原地区の公民館
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 元衆院議員だった楠田大蔵氏(43)が太宰府市長に就任して、1年が過ぎた。前市長と市議会の対立が泥沼化し、議会による2度の市長不信任決議案可決、市長失職という混迷劇の末に市長選が行われたのが、昨年1月28日のこと。当選当日から1期目の任期が始まった楠田市政の下で、太宰府はどう変わったのか、検証した。

 「小学校の給食は大好きです。どうして中学校ではできないのですか?」

 1月26日夜。楠田氏が太宰府市の芝原地区公民館に出向いて住民と意見交換した「市長と語る会」で、最初に手を挙げた地元の小学6年男児(12)はストレートに質問をぶつけた。

 前市長と議会の関係が悪化した原因の一つが、中学校の給食問題だった。会場を緊張感が包んだが、楠田氏は「たじろいでいます」と場を和ませつつ、「問題は、億単位の金をどう捻出するかという財源。知恵を出せば実現できるはずなので、できるだけ早くめどをつけたい」と続けた。

 この「語る会」も、「より良い中学校給食導入へのめどを任期中につける」と並ぶ楠田氏の市長選公約の一つ。この1年間で予算を付け、実現した第一歩と言える。昨秋から副市長や教育長、部長らと市内を巡回して開いており、本年度は10カ所で予定している。

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 年明け以降、平日午前8時半~9時に市役所を訪れると、1階ロビーで市幹部に「おはようございます」と声を掛けられるようになった。市長以下の幹部が交代で立つ「あいさつ運動」。1月下旬に終わる予定だったが、係長級まで動員して3月上旬まで続ける方針だ。

 楠田氏は「一部市民に『あいさつもしない』と不評だった市役所の、変わろうとする姿勢が伝わると反応が良かったので」。選挙時に掲げた、「市長・市役所・市議会・市民の心を一つに市政再建」を具体化するコミュケーションの一環と位置付けているという。

 懸念されていた議会との関係だが、今の所は「なぎ」のように映る。市長選で対立候補を推し、楠田氏の当選直後には「不信任案を出したいくらい」と出はなをくじくけん制発言で物議を醸した橋本健議長は、「人の話を聞く姿勢があり、議会との関係はいい」。楠田氏が副市長と一緒に全会派と個別懇親会を催し、意思の疎通に心を砕いていることも奏功しているようだ。

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 では、楠田市政は順風満帆か-。

 「いやいや、まだ評価はできませんよ。混迷に終止符を打ったのはいいし、あいさつ運動も分かりやすい。ただ、市民が期待している太宰府改革の具体像はまだ、見えていませんからね」と話すのは、市民団体元代表の観世広さん(81)。そうした声も意識してか、楠田氏は新年度予算の編成方針で「平成の集大成と、その先の新たな世の始まりにふさわしい『新生太宰府元年』として、新機軸を打ち出す」と宣言している。

 給食の件に限らず、交通渋滞解消、観光連携による回遊性向上、財源づくりなどの政策課題は山積している。楠田氏は、取材にこう応えた。「これからが、私の腕の見せどころですよ」

=2019/02/08付 西日本新聞朝刊=

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