紙芝居をタブレットで 博多区の庭月野さん 「生きる知恵、教訓を語り継ぐ」 [福岡県]

プロジェクターでスクリーンに映し出した紙芝居を読み進める庭月野誠也さん
プロジェクターでスクリーンに映し出した紙芝居を読み進める庭月野誠也さん
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 福岡市博多区の庭月野(にわつきの)誠也さん(38)が、タブレット端末のiPad(アイパッド)を使って昔話を語る「電子紙芝居」に取り組んでいる。語りに訪れるのは学校や公民館、福祉施設、カフェ、バーとさまざまで、演目は九州に伝わる昔話が中心。庭月野さんは「昔話には生きるための知恵や教訓が詰まっている。多くの人に伝え、語り継ぎたい」と話す。

 18日夜、庭月野さんは和服をさらりと着こなし、中央区今泉の飲食店で開かれたイベント「大人の紙芝居」に登場した。iPadの画面を指でスライドさせながら、プロジェクターでスクリーンに昔話の絵を次々と映し出し、マイクでナレーションをしていく。内容は全てそらんじている。

 その話の一つ、「はなたれ小僧さま」は、みやま市が発祥の地とされる民話だ。

 -昔、おじいさんが願いをかなえる鼻水を垂らした小僧をもらった。新鮮なエビナマスを食べさせ、お願いをすると老夫婦は金持ちになる。次第に小僧をうっとうしく感じるようになり、おじいさんが家を出るよう告げると、小僧が去るとともに元のおんぼろな家だけになった-

 語り終え、庭月野さんは「人の心は移ろいやすい。大事なことは心にとどめ、努力する必要があるのです」と、話に込められた教訓を観客に説明した。

   ◇    ◇

 もともとは、漫画家志望だったという。2010年、おいを主人公とした絵本を創作して出版したことをきっかけに、読み聞かせ活動を始めた。デジタルで絵を描いていたことや、作品を持ち運びやすくする工夫から、昔話の電子紙芝居という手法を独自に編み出した。

 この日は、観客と一緒にせりふを読んで昔話の空気感を味わってもらったり、「上を向いて歩こう」を歌いながら紙芝居を演じたり、さまざまな表現でその魅力を伝えた庭月野さん。参加したのは2回目という女性(52)は「紙芝居はわくわくするので好きです」と引き込まれるように見入っていた。

 電子紙芝居の作品は約30種類を数え、出張紙芝居も受け付けている。4月には佐賀県立美術館(佐賀市)で絵画展を開き、併せて電子紙芝居も披露する予定。「昔話は子どもだけでなく、大人も懐かしがってくれる。地域や世代間をつなぐコミュニケーションツールにもなります」。庭月野さんの挑戦は続く。

=2019/02/22付 西日本新聞朝刊=

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