太宰府の古民家宿泊事業始動 旧料理店の「古香庵」を活用へ 滞在型観光へ3月改装着手 [福岡県]

旧古香庵の庭に立つ蔵の2階で設計方針を語る建築家の才本謙二さん(左から2人目)
旧古香庵の庭に立つ蔵の2階で設計方針を語る建築家の才本謙二さん(左から2人目)
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 太宰府市の太宰府天満宮周辺で、西日本鉄道などが計画する古民家を活用した宿泊事業が動き始めた。20日には設計担当者など関係者による最終打ち合わせがあり、どんな狙いの「古民家ホテル」にするかを確認。3月には古民家を宿泊施設に改造する大がかりな工事に着手し、予定通り今夏には開業する見込みという。

 古民家ホテルの拠点棟となるのは、天満宮の傍らにあり、風流なたたずまいで知られる旧料理店「古香庵(ここうあん)」。江戸末期から昭和にかけ、3代にわたって活躍した絵師吉嗣梅仙(ばいせん)、拝山(はいざん)、鼓山(こざん)の元住家で、現存する建物は拝山が1911(明治44)年に建て替えた。その後、鼓山の孫の吉嗣文成(ふみしげ)さん(72)が、妻の知子(のりこ)さん(67)とともに会席料理店を経営してきたが3年前、閉めていた。

 計画によると、旧古香庵の正面玄関から入ってすぐ左側の部屋にフロント、その隣の広い和室にレストラン機能を集約する。さらに、その奥にある複数の部屋を三つの客室として独立させ、宿泊者が庭を通って直接、それぞれの部屋に入れる構造にするという。

 また、庭に立つ2階建ての蔵も客室として活用する。蔵は14(大正3)年の建築で、2階天井の梁(はり)には拝山自らが「七十歳祝賀」と筆を振るった書が残されている。2階部分を寝室に、1階部分を風呂付きのリビングにする設計だ。

 20日の打ち合わせの席で、設計担当の建築家・才本謙二さん(62)は改造の狙いを説明し、「蔵も含めて昔のままの状態が残され、素晴らしい建物。天井板など使える物は生かしたい。蔵も1階は暗いが、ガラスを使うなどして明るくできる。元を生かしながら、後世に残していくことが大事」。

 才本さんは、古民家ホテルの成功事例とされる兵庫県の「篠山城下町ホテル NIPPONIA(ニッポニア)」の古民家改修の設計者でもある。打ち合わせに立ち会った旧古香庵の吉嗣さんは「本館奥の客室にそれぞれ庭から直接入る、という発想には感激した。建物を皆さんに喜んでもらいながら、次代に残すことができれば本望」と話す。

 太宰府天満宮周辺にある古民家活用を模索し、古民家ホテル実現の下地をつくった市観光推進課は「本市の懸案である『滞在型観光』への大きな一歩になってほしい」と期待している。

 太宰府の古民家ホテル事業 西鉄や福岡銀行などの合弁会社が古民家3棟を借り上げ、ホテルとレストランに改装。客室は10室前後で、価格は2人1部屋で6万3000円程度(1泊2食付き)。レストランは地元食材使用の本格フランス料理を提供。ランチとディナーは宿泊客以外も利用できる。コンセプトは「エリア全体をホテルに見立て、宿泊だけでなく、まちの文化を体験する」。

=2019/02/28付 西日本新聞朝刊=

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