中学図書館、民間委託へ 春日市教委方針 識者「校長が指示できず混乱も」 [福岡県]

春日市の読書と学校図書館が「どう変わるか」をテーマに開かれた学習会。永利和則さんを講師に迎え、活発な意見が交わされた
春日市の読書と学校図書館が「どう変わるか」をテーマに開かれた学習会。永利和則さんを講師に迎え、活発な意見が交わされた
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 春日市の中学校に勤める図書館司書の運用を巡り、議論が起きている。市教育委員会は2020年度から現行の嘱託職員配置を見直し、民間業者への委託に切り替えた上で、核となる役職を置くなどして図書の活用を図るという。一方、現在の司書は勤務時間の増加が先決と反発しており、識者も「委託になれば、学校図書館長の校長が指示や指導をできずに混乱する」と懸念を示している。

 市教委によると、春日市には6中学校があり、現在は嘱託職員が1人ずつ配置されている。勤務は週3日間でそれぞれ5時間だ。

 全国的に年齢が低いほど本を読むという傾向があるが、春日市の昨年の1カ月読書冊数は、小学生の平均32・0冊に対し、中学生は同4・3冊。学校図書館や図書の授業への活用も小学校の73・6%と比べ、中学校は24・2%と低かったという。

 こうした現状を民間活力の導入により改善しようと、市教委は図書館運営のノウハウを持つ業者に6中学校の業務を委託することを計画。その代わり、中学校の図書館業務全体を統括するポストを設け、授業への活用も積極的に提案してもらいたいとしている。

 現在の司書6人に対する本年度の人件費は、計約450万円。業務委託になると年間約1千万円に膨らむ方向だが、現在は市教委が行っている研修会や講座など、学校図書館に対する支援業務の一部も委託内容に含めるとしている。

 これに対し、現在の司書の一人は「そもそも規定の勤務時間が少なく、できる業務には限界がある。もっと勤務時間を増やしてくれれば、読書冊数も増やせるし、授業への提案もできる」と反発する。

 また業務委託方式になると、民間業者が中学校に派遣する社員に対し、学校長らが直接指示などをすることは「偽装請負行為」とみなされ、許されない。心配する声が上がっていることについて、春日市教委地域教育課は「災害時の対応、個人情報の保護も含めて想定される業務は、一つ一つ具体的に契約の仕様書に書き込むので問題ない」と回答。学校間の本の相互貸借や、地域住民への開放なども含め、魅力的な図書館づくりに努めたいとしている。

 福岡女子短大の永利和則特任教授(図書館学)は、文部科学省が定めた学校図書館ガイドラインで、学校図書館長は校長であり教職員の連携により計画的に運営することが望ましいと規定されていると指摘。その上で、業務委託では「校長だけでなく司書教諭も指示を出せない。『チーム学校』として、どのように図書館を運営していけるのだろうか」と疑問を呈した。

=2019/03/19付 西日本新聞朝刊=

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