朝倉市立比良松中の教諭に理科教育大臣賞 九州豪雨…「生徒の理解深めたい」 高層天気図活用、気象の授業に工夫 [福岡県]

高層天気図の立体モデル(手前)を使った授業で東レ理科教育賞文部科学大臣賞を受賞した高野将吾教諭
高層天気図の立体モデル(手前)を使った授業で東レ理科教育賞文部科学大臣賞を受賞した高野将吾教諭
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 優れた教育を新しい発想で行っている中学・高校の理科教師を表彰する全国コンテスト「東レ理科教育賞」で、朝倉市立比良松中の高野将吾教諭(43)が最高の文部科学大臣賞に選ばれた。2017年7月の九州豪雨で比良松中を含め朝倉市が被害を受けたことを受け、高野教諭は自ら考案した高層天気図の立体モデルを活用して授業を展開。生徒が気象を3次元の現象として理解しやすいよう、工夫を凝らした点が高く評価された。

 高野教諭は、教壇に立つ教師としては珍しい気象予報士の資格を2015年3月に取得している。日ごろ目にする天気図は地上付近の様子を表すが、それだけでは不十分で、本当の気象現象は上空5千メートル以上の高層まで立体的に見て初めて理解できると説明する。

 九州豪雨で比良松中は技術室などが川にえぐられて傾き、同校生にも忘れられない災害となった。「気象現象の真の姿を伝えたい」と常々思っていた高野教諭。生徒に豪雨の仕組みを考えてもらおうと、地上から高層まで一目で分かる高層天気図を、高さ約30センチの立体モデルで作る方法を考案。昨年3月に授業で取り入れ、2年生に手作りしてもらった。

 この立体モデルは、地上から上空5500メートルまで、高さ別に4段階の天気図を透明シートに描く。このシートを割り箸で支えて高度別に上下に配置し、ビルのように立体化。上や横からなど3次元の視点で眺めることにより、気象現象を視覚的にとらえられるようにする。シートには、教材にしやすかった2012年九州北部豪雨の高層天気図を再現した。

 生徒たちは完成した立体モデルを使い、豪雨当時、下層付近は暖かく湿った空気があり中層では上昇気流が起き、高層に冷たい空気が存在して大気が不安定になっていた現象を確認した。授業後、「予報される天気になる理由を考えるようになった」「日々の天気を調べ、防災に役立てたい」と生徒の関心も高まったという。

 今回の東レ理科教育賞には全国から82件の応募があり、高野教諭が頂点に立った。高野教諭は「今後も発展させて大雪や台風、急速に発達する低気圧などが分かる授業へ工夫を続けたい」と喜びを口にした。

=2019/03/20付 西日本新聞朝刊=

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