【福岡市長選】「オタクで炊事メン」「強い人には、こびない」候補者はどんな人?横顔紹介

福岡市長選に立候補した神谷貴行氏(右)と高島宗一郎氏
福岡市長選に立候補した神谷貴行氏(右)と高島宗一郎氏
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 18日の投開票に向け、論戦がスタートした福岡市長選。立候補した2人の横顔を紹介する。 (届け出順)

市長選、2人の一発目の訴えは?考えや政策をたっぷりお伝えします

作家、オタク 表情多彩 神谷貴行氏(48)=無所属、新人(共産党推薦)

 漫画評論家、作家、オタク、イクメン…。今は市長を目指す候補者。「福岡市は経済成長したが、果実は一部にしか届いていない。99%のための政治をしないと間に合わない」。口調は穏やか。だが弁舌は鋭い。

 反骨心の原点は愛知県での高校時代。「学ランのボタンを開けてはいけない」と定めた校則への反対運動の先頭に立ち、規則の撤廃に成功した。「やれば社会は変わるんだ」と知った。18歳で共産党に入り、京都大法学部卒業後は党職員に。市議団事務局では政策立案に深く関わってきた。

 自他共に認める「オタク」。漫画と本に月額3万円使う。本棚からあふれ、しぶしぶ一部を電子書籍に切り替えた。本の読みすぎで眼を痛め、眼帯姿で出勤し同僚を驚かせた。

 自称「ロジック大好き人間」でもある。憧れは第2次世界大戦中の軍隊生活を描いた大西巨人さんの小説・漫画「神聖喜劇」の主人公東堂太郎。法令を根拠に不条理に立ち向かう架空の人物だ。「そういう生き方ができたらなあ。毎日朗読しています。声を上げて」

 紙屋高雪のペンネームで漫画論評のブログを書く。作家としての著書は5冊。2015年までの5年間、自治会長を務めた体験を記した「“町内会”は義務ですか?」は、「会費なし、義務なし、手当なし」の新自治会を立ち上げた教訓が関係者の共感を呼んだ。

 「幅広く意見を聞く調整型」が周囲の評。潮谷義子前熊本県知事を注目する政治家に挙げ「川辺川ダム問題で、彼女がやった推進派と反対派の討論集会は住民自治の原点の手法」と語る。

 発想は柔軟。現職高島宗一郎氏のスタートアップ(創業)施策も一定評価する。「私が市長になったら、高島さんにスタートアップ課長をお願いしたい」

 妻と小学5年の長女の3人暮らしで、気分転換は家族との散歩。几帳面(きちょうめん)な「レシピの奴隷」になって朝晩の炊事を担う。「政治家が家事・育児と両立する新しいモデルを示す」と意気込む。「憧れのハワイ航路」など昭和歌謡が十八番。健康に気遣い、趣味は筋トレ。11階にある職場の行き帰りは必ず階段を使う。

失敗恐れず挑戦続ける 高島宗一郎氏(44)=無所属、現職

 みるみるうちに目が潤み、言葉を詰まらせた。今年4月。福岡市の創業支援施設「福岡グロースネクスト」の1周年記念式典であいさつに立ち、未来を切り開こうと新ビジネスの創出に奔走する若い起業家や運営スタッフを思い感極まった。

 人口減少や高齢社会の進展で閉塞感(へいそくかん)が漂う時代。「われわれは耐え忍ぶ世代ではない」とあらがい、「リスクを取って挑戦する人たちはすごい」と感じる。

 好きな言葉は「成功の反対は失敗ではない。挑戦しないこと」。日本社会が抱える課題の解決は、世界に通用するビジネスを生むと信じ「ピンチはチャンス」と言い切る。「今までの感覚でいるとだんだんさびてくる」と若い起業家から刺激を受けることも多い。

 地元放送局のアナウンサーから市長に転身して8年。「行政経験なし、経営経験なし、難問山積の福岡市、前途多難です」。初当選を報じるテレビニュースのナレーションが今でも忘れられない。「アナウンサー上がりに何ができるのか」。陰口を何度も耳にし、「本当に悔しい思いをした」と振り返る。「何を言っても信用してもらえず、ばかにされるなら嫌われた方がいい。リーダーは孤独だ」と言い聞かせた。

 「成果で見返すしかない」との思いで突っ走ってきた。この8年で人口や市税収入は大きく伸び、クルーズ船の寄港数は日本一に。「自分のよろい」として常にスーツにネクタイ姿を通してきたが、「もう肩肘を張って弱く見せないようにしなくても大丈夫なのかな」とも思う。

 最近は、市議会との軋轢(あつれき)や、宿泊税を巡る県との対立が注目されがちだが「そんなキャラクターじゃないんですけど…。本当に平和主義者なんですよ」と苦笑する。「弱い人には優しく、強い人にはこびない」が信条で、障害者の雇用を特集した番組を見て涙を流すなど涙もろい一面も持つ。

 気分転換はジムで汗をかくこと。筋トレで背中と肩の筋肉を鍛えているが、強く見せるためではなく「服を着た時に体形がきれいに見えると聞いたから」と笑った。

=2018/11/06付 西日本新聞朝刊=

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