福岡市長選リポート<西区> 開校すぐに新設小準備 人口激増で地域にひずみ

昨年度に誕生したばかりの西都小で開かれた校区初のスポーツフェスタ。周辺は新しいマンションや住宅が立ち並ぶ
昨年度に誕生したばかりの西都小で開かれた校区初のスポーツフェスタ。周辺は新しいマンションや住宅が立ち並ぶ
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 10月下旬の日曜、福岡市西区女原(みょうばる)北の西都小グラウンドは「スポーツフェスタ」を楽しむ人たちの歓声や笑い声に包まれていた。西都小は2017年度、児童数が急増する玄洋小と周船寺小の2校区の一部を分離し開校した。まだ知らない者同士が多いこの校区で、交流を進めようと初めて企画されたイベントだ。

 さまざまな世代の約600人が参加。ボランティアの九州大生が道具を運び、地域行事を手伝った。校区自治協議会の徳永哲也会長(81)は手応えを感じる一方で、複雑な思いも抱えていた。西都小は想定外の児童数の伸びで、既に2023年度を目標に校区を分離し新設小学校が設けられる方向が決まったからだ。「ようやく校区の運営が軌道に乗ってきたのに。また最初からやり直さないといけないのか」

 西都校区の中核を成すのはJR筑肥線の九大学研都市駅一帯。水田が広がっていたこの地域は、九州大伊都キャンパスの玄関口として1997年から130ヘクタールに及ぶ区画整理事業が実施された。市中心部の天神まで電車で約25分と利便性が高く、民間による子育て世代向けのマンションや一戸建ての建設が進んだ結果、人口はこの20年余りで15倍の約1万3500人に激増した。

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 開校7年目で分離する予定の西都小。本年度入学の1年生は6年生のとき、現小学校と新設小に離れ離れになる。こうした状況は、開校準備段階では見通せていなかった。市教委は、過去の人口変動から開校時の児童数を539人と推計したのに対し、現実は756人と大幅に上回った。

 新たな情勢を踏まえた市教委の推計では、今後も西都小の児童は大きく増え続け、新設小開校前年の22年度は1350人で42学級となる。既に教室が足りなくなり、多目的室を改修して利用している本年度より、さらに12教室が必要でプレハブ校舎設置の検討が迫られている。

 西都小の齊藤啓一校長は「過大規模校となるこれからは、運動場の遊ぶスペースの確保や体育館の使用の割り振りなど、多くの課題が出てくる。運用をしっかりと考えていかないといけない」と語る。

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 市教委は19年度中に校区自治協や学校などと話し合い、西都小と新設小の通学区域を設定する。ただ、新設小は校区北端に位置するため、隣接する他校区の一部地域を編入するかなど、調整は困難を極めそうだ。

 自治協の徳永会長は、地域の一体化に向けた今の取り組みを無駄にしないためにも、新設小が設けられた後も校区自治協は分けず、現在の組織で活動を続けることを望んでいる。

 だが、拡大のスピードは止まらない。学研都市駅と伊都キャンパスを結ぶ通り沿いには新たな区画整理事業が計画されている。21年度には基盤整備が完了し、高層ビル2棟を含む商業施設や住宅地のある街が造られる予定で、一部が含まれる西都校区の人口はさらに増える見込みだ。

 校区では朝夕の渋滞も深刻化。街の急速な拡大で生じるひずみに、住民の戸惑いは大きい。徳永会長はため息をつく。「市西部の拠点になる街と言うが、市にしっかりとしたビジョンはあるのか」

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 九州最大の都市、福岡市を形作る七つの区。市民生活に一番近い場所で今、何が起きているのか。記者がリポートする。

=2018/11/09付 西日本新聞朝刊=

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