【産業医が診る働き方改革】<15>高まる熱中症リスク

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 近頃、夏の暑さが厳しくなり、働く人たちの熱中症リスクが高まっています。

 暑さが原因の脱水や高体温に伴って、吐き気やめまいなどの症状が現れるのが熱中症。症状がなくても脳血流が減って仕事の質や効率は低下し、体温が40度を超えると生命の危機となりかねません。多発するのは建設業や農業、警備業などの屋外作業ですが、冷房が切れたビル内での清掃や倉庫内での運搬など、屋内でも危険はあります。

 予防策はあるのでしょうか。産業医は(1)環境(2)仕事(3)体調-の三つの視点で対応しています。まず、暑さの原因を分析して環境を改善します。屋外なら日陰をつくり、太陽熱を遮断。外出時は帽子や日傘、うちわを携行する。屋内なら空調で気温と湿度を下げ、風を送る。

 次に、仕事の負荷を下げる工夫をします。体を使う作業は涼しい時間帯に変更し、衣服の風通しを良くします。水をかぶってぬれタオルを首や頭に巻けば、汗の代わりに水が蒸発して体の熱を奪うので効果的。連続した作業時間を短縮し、こまめな休憩で水分補給と体温回復を心掛けます。急に気温が上がるという予報があれば、作業計画を見直すことも大事です。

 最後に個々の体調への配慮。体調不良を我慢せず、申し出やすい雰囲気をつくりましょう。日頃から汗をかく生活をしていれば、暑さに強くなります。加齢や糖尿病などの持病、肥満、睡眠不足は暑さへの抵抗力を弱め、酒の飲み過ぎと朝食抜きはもってのほかです。

 また、早期発見と救急処置も重要です。めまい、吐き気、頭痛、手足がつるといった症状は軽い熱中症かもしれません。頭がぼーっとする時は、しばしば体温が38度を超えています。普段と様子の違う人がいたら、積極的に声を掛け、日陰で休ませてスポーツ飲料を渡しましょう。自分でふたを開けて飲めるなら様子を見ていいですが、自力で飲めないならただちに救急搬送してください。

 酷暑を健康に乗り切る知恵も職場に求められます。多彩な視点とアイデアで、無知と無理による熱中症を防ぎましょう。

 (堀江正知=産業医大教授)

=2018/05/28付 西日本新聞朝刊=

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