【産業医が診る働き方改革】<16>「健康になる職場」増加中

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 植物があふれたり、個人の執務スペースが広かったり、リラクセーションルームがあったりと、疲れにくいオフィス環境。食事の量や栄養バランスに配慮したヘルシーメニューを提供する社員食堂、低カロリー飲料が並ぶ自動販売機。年数回の運動促進キャンペーン…。社員の健康増進に取り組む企業が増えています。

 少子高齢化が進む日本では、65歳以降も働ける健康な高齢者を生み出すことは、社会の活力を維持するためにとても大切です。健康に老いるには若い時からの健康管理が必要ですが、分かっていても個人ではなかなかうまくいかないものです。

 そこで「健康経営」が注目されています。企業が経営の一環として従業員の健康に投資し、健全な労働力の確保という成果を享受しようとする取り組みです。国、地方自治体や民間金融機関が健康経営を後押しする表彰制度や低利子融資制度を始めるなど、さまざまな動きが広がっています。

 各企業は、経営トップの「健康経営方針」や「健康企業宣言」に基づいて健康施策を展開します。管理職も研修を受け、仕事の一環として職場の健康づくりに取り組むことになります。そのような体制の下、多様な健康増進プログラムを展開して、企業に健康文化を根付かせようとしています。

 本来、職場は仕事をする場所であって、健康になるための場所ではありません。しかし、今浸透しつつある健康経営で、この常識が覆るかもしれません。健康経営に積極的な企業で働くか、健康への配慮のない企業で働くかによって、在職中も、退職後も、健康状態に大きな差が出てくることになるでしょう。

 健康経営は、企業にも大きな価値をもたらします。医療費の削減だけでなく、従業員の生産性アップ、株価への好影響など、多方面で投資効果が得られると期待されています。人手不足の昨今、いい人材を獲得し、長く働いてもらうため、成長を目指す企業に不可欠な取り組みになるでしょう。

 さて、皆さんの職場では健康になれるでしょうか。

 (森晃爾=産業医大教授)

=2018/06/18付 西日本新聞朝刊=

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