【産業医が診る働き方改革】<28>女性に多いリウマチ

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 「仕事を休んだ方が良いのでは?」。工場に勤める佐藤恵理さん(37)=仮名=は、ついに上司に言われてしまいました。

 1年前、朝の手のこわばり、手足の関節の痛みと腫れが生じました。近くのクリニックで「関節リウマチ」と診断され、合成抗リウマチ薬の一つ、メトトレキサートを服用するようになりました。最初は効いたのですが、疲れやすさやだるさも感じるようになっていました。上司の勧めで産業医に相談し、大学病院の受診を勧められました。

 「1年前まで普通に仕事していたのに」と佐藤さんが嘆くほど、病状は進んでいました。手、手指、足など10カ所以上の関節が腫れ、関節エックス線写真では、一部で骨が溶け始めていました。そこで、メトトレキサートを増量し、3泊4日の入院で生物学的製剤のバイオ抗リウマチ薬を処方したところ、1週間後には関節の腫れや痛みがうそのようになくなって、翌月から仕事に復帰。「私の人生が戻ってきた」と喜ばれました。

 関節リウマチの患者数は約100万人といわれ、30~50代の働き盛りの女性に多い病気です。佐藤さんのような関節症状に加えて、倦怠(けんたい)感など全身のさまざまな症状を伴います。発症と同時に関節破壊も始まり、変形してしまうと元には戻りません。関節が壊れる前に適切な治療を始めることが重要です。

 この病気は外からの菌などをやっつけるリンパ球が誤って自分の体を攻撃し、全身の関節などで炎症を起こす自己免疫疾患です。このため、免疫異常を抑え、関節の炎症を制御する抗リウマチ薬が治療の中心となります。まず服用するのはメトトレキサート。効果が不十分な場合、点滴や注射のバイオ抗リウマチ薬や内服のJAK阻害薬が追加されます。

 こうした画期的な治療薬の登場により、徹底的に病勢を抑え込んで寛解に導けるようになりました。高価ですが、病勢が強く、仕事がある人には特に勧めています。佐藤さんの場合、早期に産業医に相談できたことが功を奏しました。かつて仕事や生活を奪っていた病気も適切な治療を受けられれば、普通に働き、普通に暮らせるのです。

 (田中良哉=産業医大教授)

=2018/10/29付 西日本新聞朝刊=

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