故郷の力で世界王座奪還 女子プロボクサー天海さん 「勝って鹿児島に恩返し」 [鹿児島県]

地元の祝勝会でチャンピオンベルトを手に記念撮影する天海ツナミさん=4月、鹿児島県肝付町
地元の祝勝会でチャンピオンベルトを手に記念撮影する天海ツナミさん=4月、鹿児島県肝付町
写真を見る
母校の内之浦小で世界王座奪還を報告し、子どもたちと交流する天海ツナミさん=4月、鹿児島県肝付町
母校の内之浦小で世界王座奪還を報告し、子どもたちと交流する天海ツナミさん=4月、鹿児島県肝付町
写真を見る

 プロボクサーの天海(てんかい)ツナミさん(33)=東京都、本名・有馬真波=が3月、世界ボクシング機構(WBO)の女子世界ライトフライ級王者に輝いた。5年8カ月ぶりの世界王座奪還。勝てない日々が続き、くじけそうになる気持ちを故郷、鹿児島の応援団が奮い立たせた。地元で4月に開いた報告会で天海さんは「これからも勝ち続け、少しでも故郷を元気にする力になりたい」と誓った。

 沖縄で生まれた天海さんは親の再婚に伴って幼少期、鹿児島県肝付町に移住。小学3年からサッカーを始め、中学、高校と続けた。高校時代はレギュラーとして全国大会にも出場したが、けがのため満足にプレーができなくなりサッカーを断念した。

 ボクシングと出合ったのは19歳の頃。高校のサッカー部で、ともに汗を流した同級生の転向に影響され「こんな輝き方もあるんだ」と挑戦を決めた。

 2005年にプロデビュー。リングネームの「ツナミ」は世界を見据え、ジムの会長が名付けた。サッカーで鍛えたスタミナと柔軟性。試合では勝ちを重ね、4年後には世界ボクシング協会(WBA)の女子世界スーパフライ級王者になった。「世界を取る」とがむしゃらに練習してきた成果を喜ぶ一方、手にしたベルトの重さも知った。

 10年に帰郷した際、チャンピオンベルトを母校の内之浦小で披露。目を輝かせる子どもたちを見て「この時から何か故郷に貢献できないか考えるようになった」と話した。肝付町の地域おこし団体「内之浦創星会」にも加わった。

 4度の防衛に成功したが、12年の5度目にベルトを失った。何とか奪い返そうと女子ボクシングが盛んなメキシコに戦いの場を求めたが7連敗。内之浦創星会の村岡知行会長(46)は、帰郷するたびに「続けるならくさるな。気持ちで負けるな」と励まし続けた。

 故郷の激励を受け、ようやく得た世界への挑戦権。町内にある内之浦宇宙空間観測所にちなんだロケットのイラストと創星会の文字を刻んだトランクスをはいて臨んだ世界戦で再び王座に返り咲いた。「支えてくれた地元の思いが詰まったベルトの重さは違う」と改めて感じた。

 アルバイトを三つ掛け持ちし、タイトル戦の3日後には職場に立った。プロというだけで生活できる人はごくわずかだ。それでも「勝利を届けることが故郷への恩返し。女子ボクシングをメジャーにするため体と心が続く限りボクサーであり続ける」。次は7月に沖縄である防衛戦に臨む。

=2018/05/02付 西日本新聞夕刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]