奄美・沖縄“再挑戦”が早道 自然遺産、推薦取り下げ 「キリシタン登録成功」を参考に [鹿児島県]

 今夏の世界自然遺産の登録を目指した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を取り下げる展開となった。背景には、ユネスコの諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)の勧告通りに内容を修正して再推薦した方が、登録への早道になるとの判断がある。参考にしたのは、いったん推薦を取り下げて内容を見直し、今年登録の見通しとなった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」だ。

■年間「推薦枠」減に懸念も

 「確実な登録を実現するため、早期に推薦書を再提出し、再度審査を受けることが最適な方法だ」。中川雅治環境相は1日の閣議後会見で何度も強調した。

 IUCNによる「登録延期」勧告を受けた当初、環境省内では「取り下げは全く頭になかった」(幹部)という。本審査での逆転登録、または「登録延期」の一段階上の「情報照会」となって来夏の登録という可能性があると踏んだためだが、見通しは厳しいとみた外務省は推薦の取り下げを提案。その際、「成功事例」として挙げたのが「キリシタン関連遺産」だ。

 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として出していた推薦を2016年に取り下げ、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)の指摘に沿って内容を見直し、翌年に再提出。今年5月に逆転登録勧告にこぎつけた。推薦を取り下げることでイコモスの協力が得やすくなるとともに、早い段階で再提出に向けて仕切り直しができたことも奏功した。

 それでもなお環境省は早期登録の道を探り、IUCNとも折衝したが、逆転登録は現実的でなく、情報照会に格上げされてもIUCNが求める現地調査をする時間がなく来年再び登録延期を勧告される可能性が高いと判断。推薦を取り下げてIUCNの協力を得ることを選択した。

 環境省は来年2月1日までに推薦書を再提出し、最短で20年の登録を目指している。だが、推薦自体が再来年以降に遅れる可能性も出ている。これまで1カ国につき自然、文化両遺産に年一つずつ推薦できていたのが、来年から両遺産合わせて年一つに減るからだ。

 20年登録を目指す文化遺産には「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」がある。環境省幹部は「奄美・沖縄はいち早く閣議で了解された推薦候補。優先的に推薦されることを主張したい」と強調するが、他の候補も長年、推薦を見送られてきた経緯もあり、政府の調整は難航必至とみられる。

=2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

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