徳之島に遺伝子異なるクロウサギ 南北に分かれ生息 世界遺産へ、個別保護 [鹿児島県]

アマミノクロウサギ(国立環境研究所提供)
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 鹿児島県・徳之島(徳之島町)に生息する国特別天然記念物の絶滅危惧種アマミノクロウサギが、島の南北の生息地で異なる遺伝子のタイプを持つことが、国立環境研究所などの調査で分かった。世界自然遺産登録を目指す島で、希少動物の保護は重要課題。絶滅を回避するため生息地を連結して繁殖を促すことも検討されたが、同研究所は「遺伝的多様性を守るには、双方の集団を維持する必要がある」と指摘している。

 アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島のみに生息する固有種。徳之島では約200匹(2004年調査時の推計)が島の南部と北部に分かれて集団を形成している。同研究所などが、南北それぞれの個体のふんからDNAを抽出して調べたところ、2集団は異なる遺伝的特徴を持ち、数千年以上前から遺伝子の違いがあったと推定されることが判明した。

 同じ種類の生物でも遺伝子の違いで形模様、生態が異なる。二つの生息地は最短で約1キロしか離れていないにもかかわらず遺伝子タイプが違うことについて、同研究所は「高い移動性を有するウサギ類で極めて意外な結果」としている。

 生息地の分断はこれまで、近年の道路整備などが要因と考えられていた。ところが今回の調査で、島ができたころの地形や、旧石器時代の人の入植が関与した可能性が浮上。江戸時代に普及したサトウキビ栽培による森林破壊の影響も考えられるという。

 鹿児島県などは世界自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の20年の登録を目指しており、希少動物の保護は大きな課題の一つ。環境省徳之島自然保護官事務所は「将来的に集団をつなぐことも一案だったが、それぞれの場所で保護するよう慎重な対応が必要だ」としている。

=2018/11/10付 西日本新聞朝刊=

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