「お疲れさま」離島便支えた名機に別れ JACのボンバルディアQ400引退 [鹿児島県]

機体を名残惜しそうに撮影し、最終便に乗り込む乗客=2日、鹿児島県中種子町の種子島空港
機体を名残惜しそうに撮影し、最終便に乗り込む乗客=2日、鹿児島県中種子町の種子島空港
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 九州の離島便などを15年間、主力機種として支えた日本エアコミューター(JAC、鹿児島県霧島市)のボンバルディアDHC8-Q400が2日、同社路線から引退した。ラストフライトの種子島発鹿児島行きチャーター便にはかつての機長や客室乗務員(CA)も多数搭乗し、苦楽をともにした“地域の翼”との別れを惜しんだ。

 Q400はカナダ・ボンバルディア社製のプロペラ機。短い滑走路で離着陸でき、ジェット機並みの高速を誇る。JACは2003年に導入し、06年に引退した国産機YS11の後継として最大11機を保有した。整備や訓練の合理化、他の地域航空会社との共通化を目指した別機種への統一に伴い、定期運航を11月で終了した。

 「家族のように一緒に過ごした機種だった」。この日、乗客として乗り込んだ元機長の桑原秀三郎さん(68)は振り返った。Q400には14年間乗務。着陸時に機首が上を向く短所があり、先輩に何度も教えを請うた。「うまくなるまで10年かかった」と笑う。

 同社はQ400の高速性能を生かし、07年に信州まつもと(長野)-札幌を就航。桑原さんは初フライトを担当した。「鹿児島の小さな会社が津軽海峡を渡るまでに成長しました」。誇らしい気持ちで機内アナウンスしたことが忘れられない。5月に退職し、最終乗務もQ400だった。

 「種子島のロケット打ち上げを空から見た」「新燃岳の噴火で、エンジンに火山灰が入らないよう通風口の目張りに深夜まで追われた」。CAや整備士も口々に思い出を語った。生活路線ならではのエピソードも多く、元CAの橘内早紀さん(36)は「Q400で島から鹿児島に緊急搬送された妊婦さんが、1カ月後に島に向かう便に赤ちゃんを抱いて乗ってきた。本当にうれしかった」と振り返った。

 ラストの便名は感謝を込めた「9439(キューヨンサンキュー)」。着陸直前、CAの米満利恵さん(43)が「スピードと力強さはプロペラ機のイメージを変えた。心からお疲れさまと伝えたい」と声を詰まらせてアナウンスし、機内に拍手が湧いた。「まさに名機だった」。元機長の桑原さんが力を込めた。

=2018/12/04付 西日本新聞朝刊=

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